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「原発に安心を求める国民に対して認識が甘すぎる」。二月二十六日、東京・霞が関の経済産業省で開かれた国の原発健全性評価小委員会。委員の一人で、東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県に住む鈴木賢治新潟大教育人間科学部助教授は指摘した。
小委員会は原発のひび割れについて、現在と五年後の予測をしながら評価する。傷があっても安全が確認されれば運転を認める「維持基準」は秋に導入されるが、小委員会の議論は先取りする取り組みだ。この日は再循環系配管で見つかった傷の計測データの誤差について、追加調査することが決まった。
金属などの材料を専門に研究してきた鈴木助教授は、健全性評価や「維持基準」には問題はないと認識している。ただ、傷を測る方法については、さらに多くのデータを取らなければ住民の安心にはつながらないと感じている。「国と地元には、まだまだ温度差がある」と自問自答が続く。
新たに浮上した再循環系配管の超音波探傷検査の誤差。東北電力が女川原発1号機で実施した超音波検査は深さ二ミリの傷だったが、実際は十ミリ深い十二ミリもあった。
「ひび割れがあってはいけない日本では、傷を測定する必要がなかった。検査の信頼性が高いとは言えない」。「維持基準」の基となる民間規格づくりを担う日本機械学会所属の小林英男東京工大大学院理工学研究科教授は米国の確立した測定技術に比べ、日本の経験不足を否定しない。
「維持基準」は日本以外のほとんどの原発で採用されている。米国では米国機械学会が中心となって作成した基準を米国原子力規制委員会が活用している。学会主導で改定され、新しい技術や実例が積極的に取り込まれているという。
米国にはすでに数千のデータがあるが、日本では検査自体がまだ始まったばかり。小林教授は「現在の日本ではベストの検査をしているが、信頼度を上げていく思想が必要だ」と提言する。
小委員会はこれまで六回にわたって開かれ、毎回、三時間に及ぶ会議後、保安院の幹部が原発立地地域に走る。本県には片山正一郎審議官が県庁を訪れ、審議の内容を詳細に説明している。「即座に出向くのは保安院始まって以来のこと。原発が立地する地元に理解してもらうことが重要だ」。片山審議官は国の姿勢の変化を強調する。
受け手となる県も国の対応を評価しながら、さらに地域住民への分かりやすい説明を求める。内堀雅雄生活環境部長は小委員会の専門家がじっくりと慌てずに議論していることに触れながら「(保安院が)小委員会を設置した時に想定したスケジュールからずれ込んでいるはず。あるべき審議となりつつある」と注目している。
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