勝俣東電社長に運転再開受け入れを表明する佐藤知事
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佐藤知事と勝俣東電社長との会談に先立つ十日午前、県庁二階の特別室に佐藤知事をはじめ県幹部が顔をそろえた。午後に予定されている会談でどのような最終判断を下すか県としての考え方を整理するはずだった。
「再発防止策に対する評価だけで再稼働を受け入れることが適切なのか」「国の体質・体制が変わっていない今の状況で、県民の安全・安心は本当に確保されるのか」。議論は続き、昼休みに入っても結論は出ない。会談は「白紙の状態」(県幹部)で始まった。
東電の原発プラント七基が立地する新潟県・柏崎刈羽原発。本県で一基も運転が再開しないうちに、6、7号機が先月までに相次いで運転を再開、今月中に4号機が動きだそうとしている。
「新潟県に比べて福島県の考えはよく分からない。ただの嫌がらせか」「そのうち何か再稼働との交換条件が出されるのでは…」。夏場の電力危機が懸念される首都圏では県議会が運転再開受け入れの意見集約をしても態度を明らかにしない知事の姿勢に憶測、疑念が広がり始めていた。
国、東電の再発防止への取り組みに対し、知事が一定の評価を示した時期がある。五月二十三日、立地地域から6号機の運転再開受け入れを要請された際には「霧はあっという間に晴れることもある」と語り、再開の是非を判断する時期が遠くないことをうかがわせた。
しかし、暦が変わると知事の発言は一転した。一部メディアが電力危機を理由に早期運転再開を求め、それに乗じるように国は人気タレントを起用して節電隊を結成、あてつけのように首都圏の消費者に節約を促すキャンペーンを始めた。
「原発が停止しているそもそもの原因は何か。われわれは電気を止めたくて議論に時間をかけているわけではない」。運転再開をスケジュール化しようとする動きに知事は不快感をあらわにした。
原発トラブル隠しによってあぶり出された国や東電の体質・体制の問題がなおざりにされたまま、原発を再稼働させていいのか。知事が繰り返す国の体質批判には電力危機回避を理由にした、なし崩し的な運転再開に対する危機感と強い反発が漂っていた。しかし、その一方で立地地域や県議会は運転再開を受け入れる方向で意見を集約、速やかな決断を求められてもいた。
「霧(不信)はすっきり晴れたとは言い難いが、真摯でまじめな姿勢を見て判断した」。会談後、知事は福島第一6号機の運転再開受け入れの理由を話した。国の「安全宣言」から四十日目。知事が勝俣社長に出した「了」の回答には「やむを得ないものとして受け入れる」との意味がある。「苦渋の決断だった」。この日のすべての公務を終えた知事はそうつぶやいて車に乗り込んだ。
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