■第一部 止まった国策 ■第二部 不信の構造 ■第三部 共生への模索
■信頼の崩壊 原発検査記録改ざん
■第四部 失速した国策
■原発は今・・・ 不正発覚から半年
■動きだす原発
東京電力の原発トラブル隠しなど一連の不正問題は、昨年八月末の発覚から半年が過ぎた。次々と明るみに出た問題は、原発だけでなく原子力政策そのものに対する信頼を根底から揺るがした。停止したプラントは運転再開を視野に点検や健全性評価の作業が進んでいるが、電力需要が増える時期を控えて、供給には不透明な要素も数多い。不正発覚後、東電や国の安全、安心への取り組みは変わったのか。トラブル隠しの「その後」を検証する。
二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。
原子力発電所の新増設や、核燃料を再利用するプルサーマル計画が本県をはじめ全国各地で止まった状態が続く。国は資源小国・日本のエネルギー確保の重要さを前面に押し出すが、県や発電所の立地町にとっては国の姿勢に見えにくさが付きまとう。県は国のエネルギー政策との間合いを見つめ直す取り組みを加速しているものの、一方で立地町は発電所との共生を簡単には捨て切れない。それぞれが不信や不満を抱く中で、国策に交錯する思惑を探った。
原子力、火力発電所が立地する相双地方の将来をめぐって県や地元が揺れている。原発の運転が始まってから三十年余り、住民は日本の電力供給を担っている自負を持ちつつ、発電所の立地による恩恵に豊かさを求めてきた。そして今なお、新増設への期待は大きい。県は国や電力会社の事情に左右される振興策をけん制し始めているが、県も地元も展望をまだ描き切れていない。発電所との新しい共生の道は見いだせるのか―。国、県、電力会社の出方をうかがいながら、模索する住民や自治体を追った。
東京電力の原発トラブル隠しに続く気密性データの不正操作は、東電の隠ぺい体質と国の無責任さをあらためて浮き立たせた。国策として進められている核燃料サイクルは原子力に対する信頼が失墜した今、その推進力を失ったままだ。原発立地地域の立場から声を上げた県エネルギー政策検討会の中間とりまとめは、先行きの見えない原子力政策に一石を投じることができるのか。わが国の原子力政策は信頼回復という大きな壁に直面し、漂流を続けている。