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(1月3日(木)掲載)
ひと月ほど前。県庁内に一つの情報が飛び交った。「東京、新潟、青森の知事らを招き、国が東京都内でエネルギーを考える大集会を開く」。千人以上が参加する大会の出席者に本県の佐藤知事の名前はなかった。 開催は二月九日。皮肉にも火力発電所などの新増設を先送りするという東京電力の表明を受けて本県がエネルギー政策全般の見直しを宣言してから、一年目に当たる。 昨年二月八日の東京・経団連会館。東電の種市健副社長(当時)は、発電所新増設計画を三年−五年間、先送りする方針を発表した。数時間後、県が報道機関に流した一枚のコメントにはこう書かれていた。「核燃料サイクルを含めたエネルギー政策全般を抜本的に見直すべき」。国や東電は慌てた。 佐藤知事は福島空港の利用促進ミッションを率い、訪韓中だった。ソウル市内のホテルで県の担当職員と電話で綿密にやり取りし、文面を練った。企画調整部長として同行していた大庭誠司氏(現・地方公務員災害補償基金企画課長)は「知事は決して感情的ではなく、落ち着いて状況を判断していた。積もり積もった不信感からの結論、とみるべきだろう。東電の発表は知事の決意表明の引き金にすぎなかった」と心中を推察する。 茨城県東海村で臨界事故が起きた二年三ヶ月前の平成十一年九月。いわき市の保健所で、放射線の検査を受ける市民の不安そうな姿を知事は目の当たりにした。二年前には、関西電力高浜原発で使うために輸送されたプルサーマル用核燃料のデータねつ造が発覚した。 知事はそのたびに怒りをあらわにし「国民の理解は後退している」との発言を繰り返した。「プルサーマルは無理・・・」との示唆にもとれたが、国や電力会社には、そう感じ取られないまま、時間だけが過ぎた。 エネルギー政策全般の見直しに言及してから十八日後の昨年二月二十六日の県議会で、知事は福島第一原子力発電所3号機のプルサーマルの受け入れ凍結を正式に表明した。原発立地県のトップとして、不信を招く事態を重ねてきた国や電力会社に体質改善を迫った、とも映る。 だが、現在、知事の胸のうちは県独自に設けたエネルギー政策検討会の中で、垣間見えるだけた。 国が目指す原子力発電の体制は、核燃料のウランを使用後に国内で再処理、加工して再利用する循環システム。これに対して、県は別の手法も含めて原子力発電の体制をあらためて検討し、国に提言しようとしている。 国が循環システムの根幹と位置づけているプルサーマル計画は事前了解した本県と新潟、福井各県のいずれでも止まったままだ。 国は本県での検討会を静観してきた。ただ、核燃料サイクル推進の姿勢に変化はなく、七月中旬から3号機で予定されている定期検査の時期がプルサーマル実施の一つのタイミング、とみていることは確か。 「いよいよ国が動きだす」。二月の大会開催の情報を、県幹部はそう受け止めた。情報が入ってから数日後、佐藤知事にも出席の打診があった。しかし、検討会が継続中であることを理由に出席を断った。
©福島民報社2002
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