二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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原発増設で地域振興を

県の「慎重姿勢」を疑問視−双葉郡町村長−

(1月15日(火)掲載)


 佐藤知事のプルサーマル凍結発言は、十基の原子力発電所が立ち並ぶ双葉郡にも波紋を巻き起こしている。東京電力福島第一原発が立地する双葉町。今月五日の町民新年会であいさつに立った岩本忠夫町長は「若い人たちに(双葉町に)住んでほしいが、条件が整っていない」と切り出した。年頭としては極めて異例のあいさつに、町民はプルサーマル計画や原発増設が進まないことへのいらだちと受け止めた。
 福島第一原発3号機のプルサーマル計画が進まない今、7、8号機の増設に向けた東電の知事への事前了解の申し入れは「考えられない」(東電幹部)状況にある。地元が地域振興の“起爆剤”として期待する増設をより不透明にしている。
   
   
 「地元は国の政策を尊重して増設、プルサーマルを進めようとしている。なぜ、県はストップさせるのか」。昨年十一月末、富岡町で開かれた双葉地方エネルギー政策推進協議会で、楢葉町の草野孝町長は厳しい口調で言い放った。
 郡内八町村の町村長と議会の代表が集まった会合に招かれていた、県のエネルギー政策検討会の幹事長を務める根本佳夫企画調整部次長は「(県の)考え方は皆さんと変わりない」と答えるにとどまった。
 町村長らはプルサーマルと増設のいずれにも推進の立場。ただ、発電所が実際に立地する双葉町、大熊町と発電所のない葛尾村、川内村では、推進の意識に温度差があったのは確か。しかし、県の検討会の中で、講師がプルサーマルの凍結や核燃料サイクルの不備を指摘するたびに、温度差は結束へと変わり、昨年九月に協議会を発足させた。今後も東電や資源エネルギー庁幹部と意見交換する予定だ。
 会長の岩本町長は「最終的には知事にも出席してもらいたい。知事は遠くから見て、(プルサーマルを)駄目と言っているが、地元に来てよく見てもらいたい」と話す。   
   
 双葉郡内には電源立地によって電源三法交付金、発電所建設による固定資産税、雇用の創出などの恩恵がもたらされた。電源三法交付金だけで総額で約一千億円に上る。
 学校、生涯学習施設、道路などの基盤整備は確かに進んだ。約七万六千人の住民には恩恵が実感できていないのも実情。先の見えない不景気の中、町村長らは一層の地域振興のために増設を望んでいる。プルサーマルの実施は増設実現への一つの関門とも言える。

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