二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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「現発と地域、共存共栄」

景気低迷で増す"依存度"−双葉郡経済界−

(1月16日(水)掲載)

 みんな「出稼ぎ、出稼ぎの連続だった。原発ができる前は本当に惨めだったんだから」。双葉地方の経済人らでつくる「浜通りを発展させるエネルギー 柏葉会」の相談役を務める浪江自動車学校会長の長沼勝己さん(大熊町)はそう振り返った
 目ぼしい産業がなかった双葉郡内では、原子力発電所との「共存共栄」を願う声は経済界に共通している
      
 日韓共同開催のサッカーワールドカップ(W杯)で、優勝候補のアルゼンチンチームのベースキャンプ地に決まったJヴィレッジ(楢葉、広野両町)。東京電力が建設、県に寄贈した世界有数のサッカートレーニング施設だ。平成九年の開所以来、全国規模の各種大会が催され、十二年度の来場者は五十万人近くに上る。
 富岡町で旅館を経営する吉田松恵さんは「優勝候補がやってくる。双葉郡を世界にアピールする絶好の機会となり、地元の旅館にはありがたい」と、五月からのアルゼンチンチームの滞在に期待を寄せる。旅館が潤えば、食品、寝具、飲食、タクシーなど幅広い業種が恩恵を受ける。すそ野の広がりは計り知れない
 地元の旅館経営者らはJヴィレッジで大規模な大会が開かれると、花火を打ち上げるなど協力を惜しまない。「Jヴィレッジが満杯になったときのために、地元旅館が共同で練習場を造ろうという動きさえある」と吉田さんは明かす。Jヴィレッジの効果に頼り、そのためには必要な支援もする。原発との距離のとり方も同じように見える。
 富岡町では、光伝送部品会社がIT不況のあおりを受け、今春の操業を延期した。当初、五百人規模の雇用が見込まれ、期待が大きかっただけに、地域に衝撃が走った。出口の見えない景気低迷の中、原発増設の波及効果を当てにする経済人の声は日増しに大きくなっている
      
 九年に発足し、約二百七十人の会員がいる柏葉会はこれまで、福島第一原発7、8号機の増設計画促進を国や県選出国会議員、県などにたびたび陳情してきた。
 長沼さんは「不景気で失業問題が叫ばれる今、原発は安定した雇用の場になる。プルサーマル計画に対する佐藤知事の慎重姿勢には理解できる面もあるが、双葉地方の現実にも、ぜひ目をむけてほしい」と願う。
 一方、地元の一般住民には、また違った受け止め方もあるようだ。

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