二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

15

独自の検討会立ち上げ

「県の議論に県民の声を」−脱原発グループ−

(1月18日(金)掲載)

 県内の脱原発グループは、佐藤知事のプルサーマル凍結の判断を「追い風」と感じている。双葉郡の町村長、議長による「推進」の協議会が発足したのと、ほぼ同じ昨年秋にエネルギー政策市民検討会を立ち上げた。二十日には新エネルギーや自然エネルギーの将来性をテーマに三回目の会合を開く予定だ。
 これまで二回の会合はいずれも三十人以上の参加者があった。「私たちの検討会は脱原発を明確にしているが、参加者の三分の一から四分の一は一般人。県民の関心が高い証拠」。座長を務める世話人の一人、佐藤和良さん(いわき市)は予想以上の反応に手ごたえを感じている。
      
 「東京電力は(プルサーマル用)核燃料の安全性に問題がないことを証明できなかった」。県が昨年五月末に開いた県民の意見を聞く会で、同じく世話人の林加奈子さん(浪江町)は安全性の面から、プルサーマル不要論を展開した。
 林さんは同時に、県のエネルギー検討会への一般県民の参加などを訴えた。「情報公開と県民参加」。それは脱原発、環境保護のグループの主張であり、県の検討会スタート前にも県の事務局に要望書を提出している。
 しかし、県要望に対する特段の説明もないまま、県は内部の部局長を委員として検討会での議論を始めた。林さんが主張したプルサーマルの安全性についてはこれまで、議論の対象にはなってはいない。
 佐藤さんは「情報公開の面はオープンな場で意見交換したり、インターネットで議事録を公表している」。と評価している。だが、県民参加は実現しなかった。市民の立場から考える組織はこの不満の中から生まれた。
         
 「青森県六ケ所村の核燃料サイクル施設は、倒産しそうなゼネコンを底支えするような施設だ」。昨年十一月十八日の市民検討会の初会合で講師の海渡雄一弁護士は、総事業費二兆一千四百億円に上る巨大プロジェクトの背景について説明した。「ばく大な無駄遣い」とする主張に、参加者からはため息が漏れた。
 脱原発を掲げる市民検討会と県の検討会とでは、論点と視点はまったく違っているが、県民にその違いが分かりづらい。「県が脱原発グループの考え方と一緒のように見られては困る。県民にもっと説明が必要な時期に来ている」。県幹部の思いは日に日に膨らんでいる。

©福島民報社2002


Copyright(C) 福島民報社 All Rights Reserved.