二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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熱心な質疑に驚き

知事と一対一の議論も−県検討会の講師-

(1月22日(火)掲載)

 県のエネルギー政策検討会は二十三日、九人目の講師を迎え十二回目の会合を開く。これまでに招いた講師は、日本を代表する大学教授、民間の研究所長ら。このうち三人は経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会、五人は国の原子力政策を決定する原子力委員会の部会メンバーに名を連ねている。
 講師の人選は事務局が数人をリストアップし、最終的には知事が決める。序盤、関係者の一部からは「原子力に批判的な講師ばかり呼んでいる」との声が聞こえた。事務局の一人は「県の内部にも同じような意見はあった。少し軌道修正した」と、検討会の結果を左右しかねない人選の難しさを打ち明ける。
      
 「地域エゴで設けた検討会と思っていたが、真剣さ、熱心さには驚いた」。原子力委員会の長期計画策定委員の一人、神田啓治京都大大学院教授は昨年十一月の検討会に招かれ、そう感じた。
 「電源が立地する地域内のベストミックスをどう考えますか」。ある部長が、県内に立地する原子力をはじめ火力、水力など電源のバランスについて質問した。国単位のベストミックスではなく、県内のベストミックスを考える姿勢に電源立地地域だからこそ生まれてくる発想だと、神田教授は新鮮な印象を持った。
 エネルギー、環境問題を専門とする佐和隆光京都大経済研究所所長は、プルサーマル計画の事前了解のために平成九年に設置された県の核燃料サイクル懇話会以来、二度目の講師を務めた。
 「私は(原発について)推進でも、反対でもない。ただ、原子力を取り巻く状況はあの時と大きく変わっていることだけは確か」。電力の自由化、原発の相次ぐ事故やトラブルに敏感に反応した県の検討会の価値を評価する。
    
 公開されている検討会とは別に、講師と知事が控室で意見交換する機会も多い。神田教授も会場となったホテルの控室で四十分以上話し込んだ。事務局が「控室の意見交換がより重要」と認識するほど、知事から科学技術と人類の関係や文明論、原子力の技術、経済の問題まで突っ込んだ話題が出たという。
 神田教授は、三重や島根など原発の新増設を目指す地域でも各種会合などで講師を務めているが「知事が提言をまとめ、全員でそれを議論する形をとれば、立地地域の立場に立ったいいものができる」と提案している。

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