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(4月21日(日)掲載)
県庁西庁舎八階。設置から十三年が過ぎた原子力安全対策課は、今月からの組織改編で原子力安全対策グループに変わった。その部屋の書類ボックスに、一枚の文書が保存されている。 日付は平成五年二月十二日。原子力発電所の使用済み燃料を保管する新たな共用プールを、東京電力福島第一原発(大熊・双葉町)につくる計画が持ち上がっていた時期だった。文書の差出人は資源エネルギー庁の課長。その内容は使用済み燃料を発電所から順次、運び出すことを県に対して「約束」していた。 プールの設置を認めるかどうかは法律上、国の権限だが、東電は建設前に県と立地町の了解を得る必要がある。県はその前提として、発電所から使用済み燃料を速やかに運び出すよう求めた。「発電所は廃棄物の貯蔵庫ではない」というわけだ。 「使用済み燃料の第二再処理工場が西暦二〇一〇年ごろに稼働すれば、発電所に保管する量は減っていく」。当時、県原子力安全対策課長を務めていた松井勇氏(現県環境保全公社常務理事)は、そんな国の担当者の言葉を記憶している。 青森県六ケ所村に建設中の第一再処理工場は日本で発生する使用済み燃料すべてを処理しきれない。国は「第二工場ができれば十分に対応できる」とのシナリオを描いた。 県庁に保管されている文書は、県にとってその言質の一つだった。文書が出されてから二カ月後、県と立地町はプールの建設を了解した。 ◇ 事前了解から一年後。佐藤知事は、新たにまとまった国の原子力政策の指針である原子力長期計画の表現に怒りをあらわにした。 <西暦二〇一〇年ごろから第二再処理工場について検討を始める―> 「前の計画には、二〇一〇年に稼働すると書かれていたはず…」。第二再処理工場の計画が遅れれば、発電所で保管する使用済み燃料が増え続ける。佐藤知事にとって見過ごせない「政策の後退」だった。 新しい長期計画づくりは、平成四年九月から原子力委員会の専門部会で本格化した。県と立地町がプール建設を了解する半年ほど前だった。「事前了解を出した時には、新しい計画は固まりつつあったのではないか」。そんな疑念が県の担当者の心に残る。 佐藤知事は原子力政策の不手際が明るみに出るたびに「国に裏切られた」事例として、十年近くが経過した今でもこの共用プールの問題を引き合いに出す。
©福島民報社2002
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