二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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東電は改善したが…緊急連絡情報公開

教訓の「水平展開」進まず

(4月22日(月)掲載)

 「県は事実を隠しているのではないのか」。県原子力安全対策課長を務めていた松井勇氏(現県環境保全公社常務理事)に対して、報道陣から厳しい言葉が矢継ぎ早に飛んだ。
 松井氏は平成四年九月、東京電力福島第一原子力発電所2号機(大熊町)が自動停止したことを県庁の県政記者クラブで発表した。しかし同じころ、東京・霞が関の記者クラブで国が明らかにしたのは、原子炉の暴走を止める最後の切り札、緊急炉心冷却装置(ECCS)の作動だった。
 松井氏は国や東京電力から会見前に何も知らされていなかった。「本当に聞いていないんです。確認してから、もう一度会見します」。こう答えるのが精いっぱいだった。
 トラブルは午後三時半すぎに発生し、自動停止の連絡だけは、わずか十五分で県に届いた。だが、国内二例目となるECCS作動の連絡が県に入ったのは午後六時十六分。発生から三時間近くが過ぎていた。
 当時の県原子力安全対策課の職員は「最初の記者会見が午後六時すぎに始まってから、ECCS作動を知らせる手書きのファクスが国から来た。記者クラブに走ったが、間に合わなかった」と振り返る。
      ◇
 十二年度、十一分四十八秒。
 十三年度、十一分四十五秒。
 これは、県内に立地する東京電力福島第一、福島第二の両原子力発電所で発生したトラブルの発覚から県に通報されるまでの平均時間だ。
 先月末まで県原子力安全対策課長を務めた高倉吉久氏(現東北原子力懇談会技術部長・東北放射線科学センター事務局次長)は「深夜でもきちんと報告が来る。情報公開の姿勢も以前より向上している」と、改善された東京電力の対応を評価している。
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 昨年十一月に中部電力浜岡原発1号機(静岡県)で発生した水漏れ事故。県や地元自治体への報告は、水漏れの発見から八時間以上が経過していた。
 「東京電力は発生から十五分ほどで県や地元の町に連絡が入る。東電だったら浜岡原発のようなことはなかっただろう」。佐藤知事は定例記者会見で、東電と同様のシステムが他の電力会社に広がっていないことを暗に批判した。
 一つの電力会社の教訓を他の電力会社にも広げる「水平展開」。その取り組みに甘さが残る国や電力会社の「業界体質」に対して、県や立地町は不信感を募らせる。

©福島民報社2002


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