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(4月25日(木)掲載)
県庁の東隣にある知事公館は佐藤知事の来客の応対に主に使われている。うっそうとした木々と高い塀に囲まれ、特別な行事がないかぎり、訪問者は少なく、ひっそりとしている。今月八日午前十一時前、一人の訪問者があった。 西沢潤一氏。半導体や光通信の世界的な権威として知られ、文化勲章の受章者でもある。現在は岩手県立大の学長を務め、原子力関係の企業や団体でつくる日本原子力産業会議会長の肩書を持つ。 西沢氏は昨年九月に開かれた県のエネルギー政策検討会に講師として出席した。知事ら県幹部からの熱心な質問に「資源エネルギー庁などの国の官僚より詳しくエネルギー問題を勉強している」と感じていた。知事の真しな姿勢を十分に理解したうえでの訪問だった。 ◇ 「プルサーマルを含む県のエネルギー政策の検討に結論を促す意味があるのではないか」。原子力産業界はプルサーマルを推進している。その取りまとめ役の一人とも言える西沢氏の訪問を、県側はそう受け止めた。 その背景には、今後のプルサーマル計画の成り行きを占う一つの「ヤマ場」が近づいていることがある。プルサーマルの実施を予定している東京電力福島第一原子力発電所3号機(大熊町)は七月中旬から定期検査に入り、運転をいったん停止する。東電にとってはプルサーマル用の核燃料を原子炉に入れる一つの機会となる。 国と東電は県のエネルギー政策検討会の議論を見ながらの判断を迫られる。だが、検討会は発足から一年近くになっても、依然としてその着地点が見えていない。 ◇ ◇ 知事と西沢氏の話し合いは約一時間。過去の原子力関係のトラブルなどが話題に上った。西沢氏は「県の検討会に結論を出してほしい」との気持ちをにじませたが、知事は「すぐに(結論を)出せるものではない」と答え、これまでの姿勢を変えなかった、といわれる。 知事は平成十年秋に3号機のプルサーマル計画に事前了解を出した。ただし、国民の理解、燃料の品質管理などの一定の条件を付けていた。 その後の相次ぐトラブルや立地地域への配慮に欠けたエネルギー政策の方向転換…。西沢氏は「県の理解を得るには、国が責任感と真心を示す必要がある」と語るが、原子力をめぐる状況は本県が付けた条件とは違った方向に進んでいるように見える。
©福島民報社2002
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