二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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原発増設東電の“金縛り”続く

県、必要性を疑問視地元には根強い期待

(5月4日(土)掲載)

 新しい原子炉の中心部の位置を示すポール。その先端に付けられた赤い旗が太平洋からの浜風に揺れる。
 双葉町にある東京電力福島第一原子力発電所の増設予定地。当初の計画では二年後の十六年度の運転開始を目指し、この場所に巨大な原子炉建屋や周辺施設が姿を現しているはずだった。
 東電は平成七年四月に発表した供給計画に福島第一原発の7、8号機の増設を正式に盛り込んだ。その後、増設に伴う環境影響評価の調査をはじめ、温排水が太平洋に流れることに伴う漁業者への補償などの手続きを済ませてきた。
 着工前の最大のハードルは佐藤知事の同意を得るための県への増設申し入れだった。「果たして増設が本当に必要なのか」。昨年、設置された県のエネルギー政策検討会で、県幹部から増設の必要性に疑問を投げ掛ける言葉が相次いでいる。その背景には、東電が増設の根拠の一つにしてきた電力消費が全国的に伸び悩んでいることなどがあった。
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 四月二十二日、さいたま市で開かれた第三十五回原産大会。東電の南直哉社長は約千人の原子力産業関係者に訴えた。「原子力は発電段階で二酸化炭素を発生することはない。エネルギー供給や二酸化炭素の抑制に果たす原子力の役割は一層拡大する」
 東電は、火力49・5%、原子力45・3%、水力5・2%の割合で電気を送り出している。ほぼ半分を占める火力発電は、地球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素を大量に排出する。一九九〇年の排出量を二〇一〇年までに二割程度、減らすことが東電の目標だ。
 東電の幹部は「福島第一原発7、8号機の増設がなければ目標を達成できない。会社としての社会的責任が果たせない」と説明する。電力消費の伸びが見込み通りでなくても、地球温暖化の防止に原発増設は欠かせない、というのだ。
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 東電は福島第一原発の増設計画を県に申し入れる機会を見いだせないまま、年度が替わるたびに運転開始時期などを延期している。
 県が増設や国策のプルサーマルをけん制する中で、東電の金縛り状態が続く。そのはざまで、増設に対する地元の根強い期待感は行き場を失い、不満となって国や県に跳ね返る。
 電力の安定供給と地域振興のもとで原発が持っていた求心力は、県、立地地域、東電を引き離す遠心力に切り替わろうとしている。
=第2部・おわり=



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