二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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地元に”東電頼み”体質

脱皮目指す新たな動きも

(5月27日(月)掲載)

 富岡町で毎年八月に行われている「とみおか夏祭り」。イベントの最後を飾るのは花火大会だ。今年も開催まであと三カ月弱となり、準備が始まった。
 花火の費用約四百万円は、地元企業からの協賛金などでまかなわれる。ほとんどの企業が一万円程度の寄付だが、富岡、楢葉両町に立地する東京電力福島第二原子力発電所は百五十万円を支出している。
 主催者の町観光協会の担当者は「東電さんは町内の企業でも破格の存在。もし寄付がいただけないなら、花火の目玉のスターマインを打ち上げることはできないだろう」と漏らす。
 富岡町ばかりではない。福島第一原発が稼働する双葉町で東電は町商工会の年末行事で三十―四十万円かかる映画上映を受け持つ。同じ福島第一原発がある大熊町の観光協会は「山開きの参加者への景品をいただいている」と説明する。
 ある町の商工会関係者は「予算が厳しいと、東電さんに泣き付けば何とかなるだろう、という思いがある。“東電頼み”が染み込んでしまった」と自らの気持ちを明かす。
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 福島第一原発の建設工事が始まって以来、三十数年。東電はさまざまな形で地元への協賛を続けてきた。ある住民は「確かに地元からの要望もあったが、集会所の建設や小さな祭りにも寄付を出してきた」と語る。
 福島第一原発はイベントに限らず、小中学校への図書や防犯灯も寄贈し、件数は十三年度だけで五十数件に上る。盆踊りへの参加、イベント運営の手伝いなど「人」も出す。福島第一原発広報部は「地元の一員として地域活性化に協力している」と説明している。
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 東電にとっては地域振興と発電所への住民の理解を目指した取り組みだが、地元には知らず知らずのうちに東電への依存体質が芽生えた。
 だが、その体質を変えようとする動きもある。南双葉青年会議所(JC)の猪狩芳樹理事長は「協賛金や交付金に頼りすぎて、われわれは自立という考え方を軽視するようになったのではないか」と自問自答を続ける。
 同JCは地域づくりをサポートするNPO法人の設立に向けた準備を始めた。猪狩理事長は「東電とその関連企業には、優秀な人がたくさんいる。こうした人材を巻き込んで地域のあり方を考えていきたい」と話す。
 「発電所から出るお金だけでは地域は発展しない」。住民がこれまで口にできなかった気持ちが少しずつ表れ始めた。

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