二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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原発増設「慎重論」に増す苦悩

議会決議から10年の双葉

(5月31日(金)掲載)

 「あれから十年がたったのか。簡単にはいかないとは思っていたが…」。双葉町の木幡忠照町議は町内に立地している東京電力福島第一原子力発電所の増設を求めた平成三年九月の町議会の決議を思い起こす。
 木幡氏は昭和六十二年に町議に初当選したころ、原発そのものに反対だったが、町民の働く場が少ない町内の雇用状況を目の当たりにして考えを一変させた。福島第一原発には原子炉二基分を増設する敷地がある。「実現すれば、雇用の機会が増えるはず。原発と地元はこれからも共存共栄の関係だ」
 決議をめぐっては慎重論もあったが、深夜までの議論の末、全会一致で採択された。
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 大熊、双葉両町にまたがる福島第一原発のうち双葉町側に5、6号機がある。5号機は五十三年、6号機は五十四年に運転を開始した。原発建設による電源三法交付金の交付は六十二年度で終わり、原発関連の固定資産税の収入も五十八年を境に減少した。
 原発立地地域を支援するため、新たにできた長期発展対策交付金や電源立地特別交付金は、運転開始から二十年以上が経過した現在も町の貴重な財源となっている。それでも交付金収入はピーク時に比べると半分近くに減った。
 新たな交付金は産業近代化の施設整備や社会福祉、スポーツ施設整備などに対象を限っている。双葉町総務課の武内裕美主幹は「本来ならば生活道路の整備に役立てたいが、交付要件に当たらない」と、使い勝手の悪さを指摘する。
 町は、総合公園の平成二十年度の完成を目指している。すでに整備を終えた多目的グラウンド、テニスコートに加えて野球場、体育館、室内プールを造る。町は「もともと原発増設による収入増を見込んでの計画ではない」と説明するが、厳しい財政事情が続く中で、増設に伴う固定資産税はのどから手が出るほど欲しい財源でもある。
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 町議会が福島第一原発の増設を決議した当時、東電の幹部は「大歓迎です」と木幡氏の肩をたたいて喜んだ、という。だが、バブルがはじけて首都圏の電力需要は伸びない。木幡氏は最近、東電の担当者の口調に増設に対する慎重さを感じ取っている。
 その一方で、佐藤知事は「すでに原発が二基ある町に、さらに二基必要なのか」と、機会あるたびに疑問符を付ける。
 木幡氏は今、電力会社や県に届かない地元の苦悩をどこにぶつけていいのか分からないでいる。

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