二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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東電社員住民の安全の願い実感

首都圏の無関心とギャップ

(6月6日(木)掲載)

 双葉郡に立地している東京電力の福島第一、第二の両原子力発電所には、合わせて約千六百人の東電社員が働く。広野火力発電所や各発電所の関連企業を入れれば、雇用は数千人に上る。
 福島第二原発総務部労務グループの坂本邦雄副長は三年前、本店労務人事部から初めて浜通りに赴任した。
 出身地の東京都八王子市に妻や子供を残しての単身赴任生活が続く。「スポーツ施設が充実した場所」が第一印象だった。東京では、いざテニスを楽しもうと思っても、簡単にはコートの予約がとれない。双葉郡では予約を入れれば、すぐに使うことができる。
 だが、双葉郡の住民の切実な思いも感じている。毎年春に会社を挙げて取り組む住民への全世帯訪問で、原発の安全運転を望む住民の声が以前より確実に増えているためだ。
 電気は一体どこでつくられているのか―。週末に帰宅する東京で、こんな意識を持つ人は少ない。電気を送り出す原発立地地域と、首都圏を往復する中で、そのギャップが身に染みる。
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 原発の運転責任者は、発電所の中央操作室で三交代の任務に当たる当直長だ。
 福島第一原発の矢内敬一郎当直長は、いわき市出身。「自分が原発内部の仕事に従事しているというだけで、はれ物に触るように見る人もいる。機会があれば、原発の安全性についていくらでも説明したいのだが…」。誤解されやすい立場ながらも、安全性の追求を怠らない。
 地震やトラブルなどの万が一への備えを考え続けるプレッシャーの中で日々の仕事に取り組む。「地域の安全は自分が守っている」という自負こそが、緊張の毎日の支えだ。
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 他県出身で双葉郡内に自宅を構えた社員は地域社会の一員としても活動している。福島第一原発保修部の曳田史朗さんは同僚とともに地元のサッカースポーツ少年団のコーチを務めている。「運動会など地域のイベントには、社員が積極的に出場する。東電と地元との関係は、この三十年で格段に良くなったはず」と胸を張る。
 住民の一人としての注文もある。各町村には電源三法交付金で野球場や体育館、グラウンドが相次いで整備されたが、曳田さんは「子供たちが気軽に利用できるサッカー場などのスポーツ施設が少ない。交付金制度に住民の目線を取り入れてほしい」と訴える。

©福島民報社2002