東京電力の原発トラブル隠しに続く気密性データの不正操作は、東電の隠ぺい体質と国の無責任さをあらためて浮き立たせた。国策として進められている核燃料サイクルは原子力に対する信頼が失墜した今、その推進力を失ったままだ。原発立地地域の立場から声を上げた県エネルギー政策検討会の中間とりまとめは、先行きの見えない原子力政策に一石を投じることができるのか。わが国の原子力政策は信頼回復という大きな壁に直面し、漂流を続けている。

 

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県の怒り消えず…

問題10年余も放置 保安院に甘い処分    

(12月16日掲載)

 東京電力の原発トラブル隠しに続く気密性データの不正操作は、東電の隠ぺい体質と国の無責任さをあらためて浮き立たせた。国策として進められている核燃料サイクルは原子力に対する信頼が失墜した今、その推進力を失ったままだ。原発立地地域の立場から声を上げた県エネルギー政策検討会の中間とりまとめは、先行きの見えない原子力政策に一石を投じることができるのか。わが国の原子力政策は信頼回復という大きな壁に直面し、漂流を続けている。
 「発電所内で組織的に行われた不正と、それを見抜けなかった国にあらためて憤りを感じる」。去る十一日、東京電力が公表した福島第一原発1号機の気密性データ不正操作の最終報告書を前に、県生活環境部の秋山時夫県民安全室長は怒りをあらわにした。矛先は東電よりも、むしろ国に向いている。
 その三十分後、福島市内で記者会見した東電の白土良一副社長・原子力本部長は不正行為にかかわった九人の処分を発表した。
 だが、検査を指導・監督する立場にあった経済産業省原子力安全・保安院は「報告書を受領した」とする二枚の報道文を出しただけだった。不正の事実関係や動機について「極めて遺憾」とのコメントを記したが、国自らの責任には明確に触れられていない。人ごとのような国の態度に県や立地地域の憤りは増幅された。
   ◇   ◇
 東電の原発トラブル隠しは十年余、気密性データ不正操作は二年間続けられてきた。その間、指導・監督する原子力安全・保安院の検査官は電力会社の自主的な点検だけでなく、国の責任で行われる定期検査の不正さえ見抜けず、原発の安全性に「お墨付き」を与え、結果として国民や原発立地地域を欺いた形だ。
 日弁連公害対策・環境保全委員会委員も務める海渡雄一弁護士は「保安院の存在意義が問われる問題だ。十年以上も不正が放置されたのだから、保安院の幹部は全員が辞任してもいいくらいだ。経済産業省から内閣府に移して再生を図るべき」と厳しく指摘した。
 東電は社長をはじめ幹部の退陣によって責任を取ったが、保安院の処分は佐々木宜彦院長が国家公務員法に基づく懲戒処分の戒告のほか、内規による訓告、厳重注意など五人にとどまった。それもトラブル隠しの調査期間や公表時期に不適正な点があったという理由で、安全性に関する監督責任ではない。保安院内には「これから新たな処分はないのでは…」(企画調整課)との甘い観測さえ流れている。
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 今月二日、佐藤知事はエネルギーをテーマとした県民の懇談会で「二年ぐらいで交代する国の役人の感覚では、どうしようもない。誰かが本気で考えないと問題は解決しない」と国の無責任さを批判した。
 知事や立地町の首長は、不信感をどこにぶつけても責任のある回答が国から返ってこない現状にもどかしさや怒りを感じている。

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