二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

5

核燃料サイクルは重要

エネ庁、意欲と焦りが交錯

(1月7日(月)掲載)

 国のエネルギー政策を決める経済産業省資源エネルギー庁は、東京・霞が関の同省別館に入っている。原子力の窓口の原子力政策課には原山保人課長が毎日、だれよりも早く出勤して新聞やインターネット、資料に目を通し、世界の情勢把握に努めている。
 石油産出国で紛争が起きれば、火力発電所で燃やす原油価格が上がる。国内のエネルギー需給は世界の動きに左右される。「私たちは福島の動きだけを考えているわけにはいかない」。エネルギー政策推進の責任者としての自負心がのぞく。
      
 原山課長は年度末で忙しい昨年三月、県庁を訪れた。「立地県の立場でじっくりとエネルギー政策を見直す」とする県側に対し「理解を得るために国は何をすればいいのか」と県の真意をただした。話し合いはかみ合わないまま、平行線をたどった。
 プルサーマル計画は、原子炉で燃やしたウラン燃料から生まれるプルトニウムを取り出し、別のウランと混ぜ合わせて再び燃料として使う。木が燃えて炭となり、その炭に再び利用価値が生まれることにも例えられる。使用済み核燃料を再利用するには、青森県六ケ所村に建設されている再処理工場に運び込まなければならない。
 六ケ所村の再処理工場は平成十七年七月にも本格的に動きだす。県内の原発から出た使用済み燃料の運び込みは始まっている。「プルサーマルを止めておきながら、六ケ所村に使用済み燃料を搬出している。この矛盾を福島の方々にぜひ考えていただきたい」。原山課長は核燃料サイクルを成り立たせるための相互理解の重要性を指摘する。
      
 県の検討会に招かれる講師は、資源エネルギー庁が重要な政策立案や方針決定の際にアドバイスを受けている専門家が多い。同庁には間接的だが、講師となった専門家から情報は入る。
 しかし、東京電力と同じように、知事や県幹部の胸中までは踏み込めない。検討会発足後、中央省庁を回った県内の商工業関係者の一人は、資源エネルギー庁幹部との懇談で三時間近くも“足止め”をされた。「知事の考えや検討会の進め方をいろいろ聞かれた。よっぽど接点がないんだね」。国のあせりを感じたという。
 プルサーマル計画が前に進まないこう着状態は、本県ばかりでなく新潟、福井の両県でも続いている。

©福島民報社2002


Copyright(C) 福島民報社 All Rights Reserved.