わたしたち福島県民は東日本大震災という未曽有の天災に遭いました。
そして東京電力福島第一原発事故という、
かつて経験したことのない惨事に苦しんでいます。
この1年余り、日本全国、世界各地からたくさんの応援を頂きました。
その応援に応えるべく、わたしたちから復興のメッセージを
国内外に発信したいと思います。
復興への希望、今の素直な思いを込めた
あなたのメッセージをお待ちしています。
入賞者は「うつくしま復興大使」として、
五輪が開催される英国・ロンドン、日本国内各地に派遣し、
「ふくしまからのメッセージ」を伝えていただきます。

うつくしま復興大使 最優秀賞 【一般部門】

 福島の農に生きる 藤田浩志さん

 「人殺し」。この世に生を受けて30年余り、まさかこのような言葉を浴びせられるとは思いもよらなかった。私は農家の八代目。直接言われたわけではないが、福島県の農家をこう呼ぶ「人」がいる。

 悪夢のような地震と津波、そして原発事故。農業が続けられるか以前に、故郷に住めるかどうかも分からなかった、あの混乱を極めた一週間。何とか農業ができそうだと見通しがつき、やらずに後悔するよりやってみようと思い立った決意が一転、ネットで見た冒頭の言葉。精神的に追い詰められた一カ月。

 でも、「人」はやさしくもあった。君の作ったお米と野菜はおいしいから、これからも食べるよ。協力できることは何でもするから。うれしくてうれしくて。そしてある人の言葉。人間70億人もいればいろんな考え方があるさ。

 わかったことがある。福島県に放射性物質が降り注いだ事実はもう変えられない。でも、そこから何を見いだし何を生み出すか、可能性は無限にあるんだ。

 誰かが、福島県の農作物は危険で食べられないというのなら、私は、福島県が世界一安全性の確認された農作物の産地になることを目指そう。

 誰かが、こんな所に子どもは住まわせられないというのなら、私は、自分の子どもが福島に生まれて良かったと思えるような家庭をつくろう。

 誰かが、怒り・哀しみ・絶望の目で「フクシマ」を見るのなら、私は、感謝・喜び・希望の目で「福島」を見よう。

 福島県の農業を復興させるのは誰?国?自治体? 否、否。うちら福島県の農家でしょう。

 「フクシマ」を悲劇の地として後世に語り継ぎましょうなんて、冗談じゃない。そんなのまっぴらごめん。あんなに大変だった「フクシマ」が、こんなに素晴らしい「福島」になるなんて! そんな風に言ってもらえる、人生をかけるにふさわしいプロジェクトに携われるチャンスがあるのだ。

 福島を捨てて新天地を求める? そんなのもったいなくてできない。私は福島の農に生きる。