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会津伝統野菜に若い力 農業 土屋勇輝さん 27 震災後、家業継ぎ無農薬栽培 普及へ日々挑戦

会津伝統野菜の栽培に取り組む土屋さん
 猪苗代町で会津伝統野菜を作っている土屋勇輝さん(27)は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を機に東京から故郷に戻り、農業を始めた。「消費者が真に喜ぶ作物を作ろう」。無農薬で化学肥料を使わない栽培にこだわり、ようやく手応えをつかんだ。猪苗代の地から会津伝統野菜の普及を夢見ている。

 猪苗代湖のほとりにある畑は雑草が生えていた。23日、土屋さんは会津伝統野菜作りの場となる畑の様子を見に訪れた。以前は草も育たない耕作放棄地だった。「土が栄養を取り戻した証し」と笑顔を浮かべた。間もなく会津伝統野菜の会津小菊カボチャや余蒔(よまき)キュウリなどの苗を植える。
 震災が起きたのは東京の大学を卒業する直前だった。県内の窮状に居ても立ってもいられず、猪苗代町の体育館で受け付けていたボランティアに参加した。原発事故の影響で古里の自然から人が離れていく印象を感じた。都内のベンチャー企業に就職が決まっていたが、地元に残る決意をした。
 仕事として選んだのは家業の農業だった。特に会津伝統野菜に魅力を感じた。会津若松市の農家から、しっとりとした舌触りが特徴の会津小菊カボチャや深みのある味の余蒔キュウリの種を譲り受け、平成26年に作付けを始めた。
 品種改良した野菜と比べると病気に弱く、収量が落ちる。ただ上手に栽培できれば味やみずみずしさは格別だった。「本当においしくて無農薬なら消費者は喜ぶ」。農薬と化学肥料を使わない栽培の挑戦が始まった。
 1年目に収穫した野菜は味にばらつきがあった。土壌作りが大きな壁だった。専門書を読みあさり、枯れ葉や稲わらを混ぜた自家製堆肥で土地を肥やした。
 成果は2年目を迎えた昨年に表れた。収穫し直販した会津小菊カボチャや余蒔キュウリはすぐに売り切れた。評判を聞いた会津若松市の飲食店などから引き合いが相次いだ。今年は10アールの畑で「かおり枝豆」など会津伝統野菜の5品種を育てる。生産者でつくる団体「人と種を繁(つな)ぐ会津伝統野菜」は土屋さんの意欲と栽培技術に期待を寄せている。
 毎年、種を採取して翌年の栽培に備えている。少しずつだが種が高冷地の気候になじんできたように感じている。「今年も頑張るぞ」。栄養豊富な雪解け水で大地を潤してくれる磐梯山を仰いだ。

※会津伝統野菜 「人と種を繁(つな)ぐ会津伝統野菜」によると、会津伝統野菜には会津小菊カボチャや余蒔キュウリなど18種類がある。厳しい自然環境の中で肥沃(ひよく)な大地の恩恵を受け育つ。近年は品種改良した野菜が出回り生産者は激減したが、10年ほど前から品質の良さが少しずつ見直され始めた。会津地方に100人ほどの生産者がいるが、猪苗代町内には少ないという。

カテゴリー:2016 猪苗代町

会津伝統野菜の会津小菊カボチャとかおり枝豆

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