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「木地」文化に再び光

資料館の整備に汗を流す伊藤さん(右)と柴田さん
 かつて北塩原村で盛んだった会津塗の漆器の元となる手仕事の木製品「木地(きじ)」の文化を紹介する「早稲沢木地工場資料館」が18日に開館する。同村桧原で「民宿ひばら」を営む伊藤勝さん(55)が地域おこし協力隊などの応援を受けて敷地内に整備した。深山・豪雪地域で自然の恵みを生かし、暮らしをつないだ木地師の技を伝える新たな観光施設として誘客につなげる。

■観光振興へ資料館 18日開館
 「やっと形になりましたね」。資料館の開館を前に額に汗を流して作業する伊藤さんと北塩原村地域おこし協力隊の柴田健一さん(33)は、来場者を受け入れる準備が整うと顔を見合わせ笑みを浮かべた。
 資料館は民宿ひばらの裏手に位置する築100年の木造2階建ての1階部分に設けた。床面積は約30平方メートル。亡くなった伊藤さんの祖父と父が木地づくりに使用していた工場を復元した。当時製作されたおわんや花瓶をはじめ、ろくろ、かんななどの製作道具、高温の火をおこす、ふいごなど約100点を並べ、木地師の役割や漆器文化を解説したパネルを展示した。
 同村桧原早稲沢地区は江戸時代に木地師が材料を求めて移り住んだ集落とされている。昭和初期まで多くの木地師が生計を立てていたが、機械で大量生産する工場が主流となってからは担い手が減った。30年前に伊藤さんの父定さんが廃業し、同地区での木地づくりは途絶えたという。
 これまで工場は物置として使われていた。思い出の詰まった品々を処分できずに伊藤さんが悩んでいると人づてに聞いた柴田さんが伝統文化に触れる場として資料館の整備を提案した。
 資料館づくりは今年3月から急ピッチで進められた。柴田さんら地域おこし協力隊のほか、地元の裏磐梯エコツーリズム協会の会員、柴田さんの会員制交流サイト(SNS)での呼び掛けに応じた立教大、文教大の学生らがボランティアとして作業に参加した。
 足の踏み場もなかった工場内が整頓され、元の姿を取り戻す。伊藤さんは父親の手伝いをしていた幼少の頃を思い出し胸を熱くした。「柴田さんら若者のアイデアと実行力がなければ実現できなかった」
 柴田さんはPR策を考える。「先人の文化や生活に触れられる貴重な場になった。多くの人に見てほしい」と話し、会津若松市を訪れる会津塗の見学者を呼び込めるようツアー企画などを練っている。
 資料館は不定休。開館時間は午前8時から午後5時まで。観覧無料。問い合わせは民宿ひばら 電話0241(34)2368へ。

※木地師(きじし) ろくろ、のみ、かんななどを用いて、おわんやお盆などの木工品を加工、製造する職人。起源は9世紀ごろとされている。材料が豊富に取れる山林地域を移り住みながら木地びきをし、漆搔(か)き、塗師らに売っていた。県内では江戸時代に会津若松市や喜多方市で漆器作りが盛んで、周辺の山林地帯で多くの木地師が生計を立てていた。

カテゴリー:2016 北塩原村

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