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からむし織の織姫制度 若者定住に効果 青見光恵さん 第二の古里に恩返し

伝統のからむし織を受け継ぐ青見さん
 昭和村の伝統工芸からむし織の後継者を育成する体験生(織姫)制度が若者定住に効果を上げ、高齢化が進行する村を支えている。織姫17期生で千葉県市原市から移り住んだ青見光恵さん(31)は作品作りと原料の栽培に励んでいる。「からむし織の魅力を全国に発信できるような作品を作り、村に恩返しがしたい」。夢を膨らませながら一本一本の糸に思いを紡ぐ。

 カッタン、カッタン-。織り機の小気味よい音が響く。手作業で細く長くつながれた、からむしの繊維を次々と織っていく。青見さんは「この糸には無限の可能性が詰まっている。作品作りは新しい発見の連続」と目を輝かせる。
 千葉県の高校を卒業後、接客の仕事に就き働いていたが、何げなく見たテレビ番組で昭和村の魅力に引き込まれた。目の前に広がる深い緑の山々、ぬくもりのあるからむし織製品の数々...。「一度きりの人生を後悔したくない」と決心し、平成22年5月に織姫となった。
 織姫は11カ月間でからむしの栽培から機織りまでを一貫して学ぶ。研修成果を発表する作品展に向けて準備を進めていた23年3月、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きた。放射線の影響を不安に思った両親から帰郷を勧められたが、村に残ることを決めた。心温かい村民との交流を通じ、既に村は第二の古里になっていた。
 現在は道の駅からむし織の里しょうわでコースターを作る体験の講師などをしながら観光客らに魅力を伝えている。仕事の傍ら村内に畑を借り、からむしを栽培し、毎年7月下旬から8月のお盆にかけて収穫。「苧(お)引き」と呼ばれる作業で繊維を取り出し、乾燥させる。12メートルの反物を作るために約1万メートルの長さの糸が必要になる。冬場は作品制作に向けて、せっせと糸を作りためる。
 道の駅には村民が手掛けたさまざまな、からむし織製品が並ぶ。青見さんは店頭での販売に向けて小物入れや名刺入れ作りに励む。毎年5月に開催される「からむし市」などで自分の作品を出品したいと意欲を見せる。「からむし織の伝統を守りながら、村の活性化につながる作品を作りたい」と言葉に力を込めた。

■織姫の希望者 若者8割

 村は平成6年度に織姫制度をスタートした。全国各地から毎年4人程度を募集し、体験生は今年度の23期生を含め110人に上る。このうち108人が村外出身者で、研修後も村内で働いたり、結婚したりして29人が村で暮らしている。会津全体で見ると約40人が残っている。織姫の希望者は20代から30代の若者が8割を占める。
 村の人口は1300人余りで約700人が高齢者だという。27年の国勢調査によると、村の高齢化率は54.8%と県内で金山町に次いで高いものの、織姫制度が若者定住につながっている。

※からむし織 からむしはイラクサ科の多年草で品質の良い越後上布や小千谷縮の原料として江戸時代から昭和村で栽培が続けられている。からむしを使用した生地は通気性、吸湿性に優れ、夏物の衣服などに適している。

カテゴリー:2016 昭和村

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