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編み組細工 生きる喜び 首都圏から応募

マタタビの枝を平らに削る作業に励む井口さん(左)と高橋さん
 三島町が人口減少対策と地域活性化を目的に地方創生の目玉として新設する「生活工芸アカデミー」が開校まであと3カ月に迫った。横浜市の会社員井口恵さん(32)と東京都小金井市の会社員高橋ほたるさん(25)は14日に2週間の模擬体験事業を終え、5月からのアカデミーにも応募している。人のぬくもりを感じながら町伝統の編み組細工をさらに学びたいと夢を膨らませる。

 町内名入の森の中にたたずむ町生活工芸館。井口さんと高橋さんは連日通い詰め、朝から晩まで黙々と手を動かした。マタタビやヒロロ(ミヤマカンスゲ)を材料に一つ一つ規則正しく編み組む。根気よく作業を繰り返すうちに、米とぎザルや手提げに見る見る姿を変えた。「生きているってこういうことかも」。自らの手で生活道具を生み出す充実感は今までにない喜びだった。
 井口さんは都内の商社に勤務している。大量生産、大量消費を繰り返す中で利益が生まれる現代社会に違和感を抱いていた。東日本大震災を契機に物の価値を問い直し、休日を利用して民芸品や食べ物の産地を訪ね歩くようになった。奥会津地域おこし協力隊として活動する友人の紹介で三島町のアカデミーを知った。「地域に根付いたものづくりの価値を学びたい」と模擬体験事業に申し込んだ。
 高橋さんは都内で婚礼衣装のスタイリストとして働いてきた。小学生から高校生まで毎年夏休みに長野県でのキャンプ体験に参加するうちに田舎暮らしへの憧れを抱いた。母が三島町の「ふるさと会津工人まつり」を何度も訪れ、ヤマブドウ細工のバッグなどを購入している縁で町に興味を持った。「田舎に住みたい気持ちが大きくなった」と新しい世界に飛び込んだ。
 2人は今月1日から町内の住宅で他の体験生と4人で共同生活してきた。町は一面雪に覆われる中、講師を務める伝統工芸士や地元住民との会話を楽しみながらものづくりに励んだ。都会では得られない穏やかな時間だった。編み組細工の課題製作をはじめ、町の文化や歴史、郷土料理にも理解を深めた。
 2人はそれぞれの会社を近く退職する。井口さんは「アカデミーで生き方の本質に気付けると期待している。三島町が古里の1つになるはず」と声を弾ませる。高橋さんは「2週間の生活で町に愛着が湧いてきた。将来的な移住も考えながら編み組細工の上達を目指す」と笑顔を見せた。

■模擬体験事業で閉講式 「生活工芸アカデミー」開校まで3カ月

 生活工芸アカデミー模擬体験事業の閉講式は14日、町生活工芸館で行われた。
 矢沢源成町長が町の伝統に親しんだ井口恵さん、高橋ほたるさん、河村愛子さん(35)=神奈川県厚木市=、小林弥生さん(33)=大阪市=の4人に感謝を伝えた。式には井口さん、高橋さん、河村さんの3人が出席した。
 本講座となる生活工芸アカデミーは5月9日の開校を予定している。編み組細工の技術をはじめ、田畑での農作業、材料の中でも人気の高いヤマブドウの栽培、山での材料採取などを1年かけて総合的に学ぶ。井口さんと高橋さんを含む5人が書類審査を通過し、最終選考に入っている。

カテゴリー:2017 三島町

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