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露地原木シイタケ 復活へ一歩 玉野地区の農家 工藤義行さん 来月、ほだ場除染開始

露地栽培の原木シイタケの出荷再開に向け期待に胸を膨らませる工藤さん
 相馬市玉野の工藤義行さん(72)は今春、東京電力福島第一原発事故で国から出荷制限されている原木シイタケの露地栽培再開へ大きな一歩を踏み出す。国の里山再生モデル事業採択を受けて、ほだ場の除染が4月から始まり、3年かけて出荷再開に向けた環境を整える。「1日も早く玉野のおいしいキノコを多くの人に届けたい」と再開を心待ちにしている。 


 工藤さんは相馬市西部の山あいの玉野地区で唯一、シイタケ栽培を手掛けてきた。里山再生モデル事業では平成29年度に工藤さんが管理しているほだ場をはじめ、玉野地区の集落周辺を除染する。30年度は森林再生事業として樹木伐採に着手し、31年度に除染効果を検証する。出荷再開の時期は未定だが、「前に進めると思うと、うれしくてたまらない」と喜ぶ。
 工藤さんは青森県平内町出身。8歳まで青森県で過ごした後、父の転勤で郡山市に移り住んだ。農林水産省職員として県内外の出先機関に勤務した。山登りが趣味で、山で採ったキノコや山菜を知人に配ると喜ばれた。
 「大好きなことを仕事にしたい」と52歳で退職し、妻の菊子さん(64)と玉野地区にキノコを栽培・出荷する株式会社「妖精の郷」を設立した。四季の変化に富んだ環境が栽培に適し、収穫したシイタケは生や乾燥で市内外に出荷した。味と香りが良いと評判になり引き合いが多かった。
 しかし、原発事故で状況は一変した。放射線の影響で市全域でシイタケの出荷が制限され、保有していた原木約2万本を廃棄した。事故後は東京電力からの賠償金でビニールハウスを整備し、新たに仕入れた秋田県や長野県の原木を使い、施設でシイタケを栽培した。露地栽培へのこだわりから、現在は施設栽培を見合わせ、露地栽培を試験的に続けている。
 震災前は地元の玉野小、玉野中の児童生徒を対象に自然体験学習を行っていた。少子化の影響で両校は今月末で廃校となる。地域が寂しくなるという声が聞かれる中、出荷再開が明るい光になると信じている。保護者の理解が得られれば、将来的に子どもたちの自然体験学習を再開したいと考えている。
 震災から丸6年が過ぎた。「とても長かったが、ようやく一歩を踏み出せる」。商売道具の原木を見詰めた。

カテゴリー:2017 相馬市

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