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笑顔咲く「桜の森」に 妻との夢これからも

自宅に植えた桜を眺める由さん
 玉川村南須釜字花見堂にある桜の森「由ノ杜(ゆかりのもり)」は、大越由(よしお)さん(78)、カツエさん(75)夫妻が40年余りをかけて自宅敷地に植樹を重ね、桜の名所に育てた。本数は約560本に及ぶ。昨年、カツエさんは病が元で自由に体を動かせなくなった。「妻や地域の人を笑顔の花で満開にしたい」。由さんは愛妻への思いのこもった森づくりに情熱を燃やし続けている。

 植樹のきっかけは長女慶子さん(55)の小学校の卒業記念だった。1975(昭和50)年に記念すべき最初の幼木を自宅庭に植えた。村内に桜の名所は少なかった。山あいにある自宅周辺を桜でいっぱいにして、にぎわいをつくろうと二人三脚の植樹が始まった。
 自宅前の農地や山林3カ所を整地してソメイヨシノやヤマザクラなど約10種類を植え、枯れ枝を落とす作業や下草刈りなど満開の桜を思い浮かべながら二人で丹念に手入れした。散策路や休憩ベンチも整備し、いつの間にか広さは3ヘクタール近くになった。夫妻の姿に心を打たれた地域住民の有志も手入れに加わるようになり、地域づくりの輪が広がった。
 森は花見シーズンに無料で開放している。桜の名所として知名度が高まり、県内外から多くの見物客が訪れ、斜面がピンク色に染まる風情を満喫している。特に近くの子どもたちが歓声を上げて見入る光景に二人は心癒やされた。ツツジやチューリップ、モミジなども植え、四季折々に親しめる工夫も施した。
 昨年11月、カツエさんは体調を崩して入院した。6月に退院したが手足にしびれが残り、作業を続けるには困難な状態になった。だが、由さんは妻の思いも込められている森づくりを諦めなかった。「無理をしないようにしてほしい」。カツエさんは夫を気遣いながらも2人の夢の続きに期待を寄せている。
 「みんなが桜を楽しみにしている。できる限り手入れを続けて多くの人を笑顔にしたい」。由さんは春を待つ桜の木々を温かなまなざしで見つめた。

カテゴリー:2017 玉川村

満開になった由ノ杜=今年4月

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