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「安波祭」請戸で復活 18日、●野(くさの)神社で震災後初 氏子総代長 渡部忍さん 長かった ようやく

●野神社で安波祭への思いを語る渡部さん
 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた浪江町沿岸部の請戸地区にある●野(くさの)神社で18日、豊漁などを願う伝統行事「安波祭(あんばまつり)」が催される。東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示の一部解除などを受けて震災後、町内で初めて実施する。有志は祭の灯を絶やすまいと震災のあった年の夏から、祭で奉納する田植踊りを避難先などで続けた。同地区出身で氏子総代長の渡部忍さん(67)=いわき市に避難中=は「心の復興につなげたい」と思いを語る。

 浜風が吹き付ける浪江町の請戸漁港近く。土台のみを残して津波に流された●野神社の境内で、渡部さんが黙々と草刈りにいそしむ。「長かった。ようやくここまで来た」。脳裏には、地域住民が集ったかつての祭の姿が浮かぶ。
 2011(平成23)年3月の震災により神社は津波で流失し、当時の宮司らも犠牲になった。渡部さんら町民も原発事故による避難を強いられた。
 生活再建に奔走する中、気に掛かったのが伝統行事の行く末だった。安波祭で奉納される田植踊りを存続させるため、地元有志や学校関係者、支援者らが協力し、踊り手の子どもたち1人1人と連絡を取った。
 2度の合同練習を経て、震災が起きた年の8月、田植踊りをいわき市で披露した。請戸地区の住民も大勢訪れた。「再会を喜んで涙を流す人もいた」。渡部さんは振り返る。その後も田植踊りは毎年継続し、伝統をつないできた。
 昨年3月末、町内の居住制限、避難指示解除準備両区域が解除された。同年8月には初めて町内で田植踊りを披露した。請戸漁港では今年1月2日、震災後初めての出初め式が行われた。
 「浪江で安波祭を復活しよう」。気持ちは固まった。
 今年は漁業関係者にとっても復興に向けた正念場となる。「自分も船乗りだった時期がある。漁に行く前は必ず、この神社でお参りしていた」。祭の復活が漁業者を後押しすると信じる。
 当日は午前10時から神事を行った後、雅楽、神楽、田植踊りを奉納する。御輿(みこし)を担いで海に入る「荒波渡御」は、御輿が津波で流されたために行うことができないが、いずれは復活させたいと願う。神社についても、再建計画が進んでいるという。
 「安波祭は請戸と自分を結ぶ絆。他の住民も同じ気持ちだと思う」。感謝の気持ちを胸に、本番の日を待ちわびている。

※●は草カンムリに召




カテゴリー:2018 浪江町

震災の20日ほど前に神社で奉納された田植踊り=2011年2月20日

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