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コメ作付け環境整う 今春、浪江で農業用水路復旧進む

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示の一部が昨年3月末に解除された浪江町で、今年春からコメを作付けできる環境が整う見通しとなった。東日本大震災と原発事故後、町が取り組んできた農業用水路の復旧作業が進み、原発事故前の作付面積約1200ヘクタールの約3分の1に当たる約430ヘクタールで作付けが可能になる。しかし、避難による担い手不足が懸念され、町は農業法人化の支援や新規就農者の開拓を通じて帰還や移住を促進し、営農再開につなげる。
 作付けができるようになるのは、町北部の立野、苅宿、酒田、藤橋、西台、北幾世橋、北棚塩の各地区で【図】の通り。大柿ダムを水源とする請戸川左岸幹線用水路、立野用水路などが2017(平成29)年度末までに復旧し、2018年度から農業用水が確保できる。2017年まで酒田、苅宿地区で行われた実証栽培では井戸水などを活用した。
 町は水利の復旧を段階的に進め、2020年度末までには帰還困難区域を除く町内全域で営農再開を目指す。
 昨年12月末現在、町民1万8020人のうち帰還したのは482人。農林水産省東北農政局によると、町内の2017年産米の作付面積は2・5ヘクタールで、生産者は5戸だった。コメ栽培の本格的な再開に向けて担い手確保が課題となっている。
 原発事故後の農地保全のため、町内では各行政区ごとに農事復興組合が組織されている。町は今後、農業者向けに勉強会などを開催して農事復興組合の農業法人化を促進し、農業法人による農地の管理・運用を計画的に進める考えだ。町の担当者は「避難の長期化に伴う困難な状況の中から立ち上がろうとする農業者を全力で支援したい」と話す。
 さらに、町は町外からの農業法人誘致を目指し、全国的な意向調査を2017年度内に実施するほか、町内での就農に関心を持つ人を対象に2018年度から農業インターンシップを行う計画だ。
 2014年から酒田地区でコメの実証栽培などを続けてきた松本清人さん(79)は「水利が復旧すれば、農作業がしやすくなる」と歓迎する。「すぐに営農再開をする人は少ないかもしれないが、ほんの少し光が差した。これからが正念場だ」と語った。
 立野地区の農業関係者は個人の農業施設の復旧が進んでいない現状を指摘し、行政の支援策充実を求めた。

■作付面積、徐々に拡大 被災12市町村
 農水省東北農政局のまとめでは、東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定されるなどした県内12市町村の2017(平成29)年産米の営農状況は【表】の通り。
 避難指示の解除などに伴い各市町村の作付面積は徐々に拡大している。

カテゴリー:2018 浪江町

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