~ 磐梯朝日国立公園指定60年 ~ 美景 山と湖

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(29)<飯豊はるか> 細く険しい参拝の道

【写真】飯豊山頂近くの飯豊山神社。かつては白装束の参拝客が鳥居をくぐった。

 喜多方市山都の川入からの登山道は信仰の道だ。飯豊山は神霊への畏敬(いけい)を込めて「御山(おやま)」と呼ばれた。かつては白装束の参拝客が剣ケ峰などの難所を越え、五穀豊穣(ほうじょう)などを願って飯豊山頂の神社を目指した。
 飯豊を地図で見ると、福島県は三国岳から飯豊山、御西岳まで細長い「盲腸」のように伸びている。これは飯豊山神社への参拝の道だ。明治時代、現在の新潟県東蒲原郡が福島県から編入される際、神社が新潟県になることに本県から反対の声が上がり、神社を本県に残した産物だ。
 飯豊山を目指す尾根の草履塚山頂の標柱には草履がくくりつけられている。草履塚下には姥権現(うばごんげん)がたたずむ。女人禁制のころ、山に入った女性が神の怒りに触れ、石に化したとの伝説が残る。今、その姿は登山客の安全を見守っているかのようだ。
 「無事通過できる者は品行方正、そうでない者は神隠しに遭う」などの俗言が残る岩場の御秘所(おひそ)を抜けると、神社までは御前坂のきつい上り坂が残る。飯豊山神社は岩と土の大地の先にたたずんでいる。登山客は帽子を取り、鳥居をくぐって頭を下げる。
 5体のご神体は現在、同市山都の一ノ木地区の飯豊山神社に祭られている。一体の重さは11キロ。かつては夏、山頂の神社まで強力(ごうりき)が運んでいた。
 飯豊の文化を守る一ノ木保存会長の田中孝さん(79)は「祭りや講中を守っていかねばならない。ここ一ノ木は御山とともにあった」と土地の精神を伝える大切さを訴える。

  文  円谷 真路
 写真 丹治 次男


IP100813TAN000216000_00.jpg【写真・左】草履塚下の登山道脇にたたずむ姥権現。ここを過ぎると難所の御秘所となる。









IP100813TAN000197000_00.jpg【写真・右】草履塚から飯豊山への尾根。登山道の幅1メートルほどが本県で、右側は山形県、左側は新潟県。

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