童謡「大きな古時計」を思わせる柱時計が福島県郡山市大槻町御花畑4ノ7の電子部品製造会社「キムラ電子」で時を刻んでいる。100年以上前にドイツで製造され、しばらく止まったままになっていたが、社長の木村幸三さん(73)が半年がかりで修理し、よみがえらせた。15分ごとにかねが鳴り、作業する社員や訪問者たちに時を知らせている。6月10日は時の記念日。木村さんは「子どものころから愛着のあった時計。今後も動き続けてほしい」と話している。
柱時計は木村さんの父信男さんが大正9年、東京・銀座で時計店を開店する際に記念として買った。高さ2・1メートルの時計は店のシンボルだった。明治29年に作られたドイツの時計メーカー・ユンハンス社の分銅式時計。3つの分銅の重さで時計内の歯車が回り、動いている。分銅が下がってくるため、定期的に分銅を持ち上げなければならない。分銅を巻き上げるのは幼いころからの木村さんの仕事だった。戦時中は時計とともに疎開先を回った。
木村さんが店を継いだ昭和32年からも振り子が奏でるリズミカルで心地よい音は店に響いた。55年、店を畳むころ、次第に止まるようになりやがて完全に動かなくなった。59年、郡山市に今の会社を設立。時計は倉庫にしまったままだった。
昨年9月ごろ、木村さんは孫たちが歌う「大きな古時計」の歌に父や幼いころの思い出がよみがえり、思い立って修理を始めた。昔の職人技を要する作業は丁寧さが求められる。手あぶらが分銅につくだけでも、正確な時を刻めなくなる。時計に生命を吹き込み、再び動き出したのは今年2月ごろ。約2カ月かけて調整を完了した。
木村さんは「振り子が奏でるリズミカルで心地よい音色やかねの音は郷愁を感じさせる。これからまた100年、動いてくれるといいな」と話している。
お父さんの古時計、今もチクタク 郡山の「キムラ電子」
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