英会話学校NOVAの経営破たんから1年が過ぎた。ジー・コミュニケーション(名古屋市)が事業を引き継いだが、県内7校のうち、新NOVAとして再開したのはわずか2校。受講生は行き場を失い、外国人を含む多くの講師らが職を追われた。「NOVAの悲劇を2度と繰り返したくない」。苦い経験を乗り越え、元受講生救済の受け皿になろうと英会話教室を開設した1人の外国人講師を追った。
福島県郡山市清水台にある英会話教室「フリーコム」。英・スコットランド出身のキャメロン・ロイさん(28)と生徒たちが英会話のレッスンに励む。ロイさんは平成16年7月に旧NOVAの講師として来日。破たんまでの約4年間、市内の郡山校で英会話を教えた。「人生で最もハチャメチャだった」。ロイさんは破たん後の1年を振り返る。
「何かがおかしい方向に進んでいる」。ロイさんが旧NOVAの異変に気付き始めたのは昨年6月ごろ。授業料の解約トラブルや誇大広告などの問題が表面化し、受講生が大幅に減っていた。その影響で、9月、10月と2カ月連続で講師への給与の支給が遅れた。 そして昨年10月26日。旧NOVAは約439億円の負債を抱え、会社更生法の適用を申請した。当初、県内7校に23人いた外国人講師はこの時点で、11人に半減していた。旧NOVAに失望し、母国に帰って行った講師も少なくなかったという。
破たん後、ロイさんも帰国を考えた。しかし、街なかで元生徒と再会するたびに「また英語を教えて」と声を掛けられ、中にはロイさんの行きつけの店に置き手紙を残して教室開設を嘆願する生徒もいた。「英語を学ぶ場所を失った生徒たちの声に応えたい」。その一心で教室の開設を決意した。
昨年12月5日のオープン初日は元生徒ら約60人が訪れた。1人1人の生徒のために自分の休み時間や財産を費やすロイさんの姿に、生徒らは手作りのパンフレットやチラシを配ったり、教室のリフォームを手伝ったりとできる限りの支援で応えた。現在、生徒数は135人に増え、12月には福島市に福島校をオープンする。
ロイさんは「これまで支えてくれた生徒たちに感謝の気持ちでいっぱい。NOVAのような悲劇を2度と繰り返さないよう、大きく強いスクールを目指す」と誓う。教室の運営を手伝う元生徒の遠藤香織さん(34)は「ロイさんの一生懸命な姿は自然と人を引き付ける。よりよい教室づくりに協力していきたい」と話している。


