<がんばれ がんばれ がんばれ>。命の尊さを訴える歌声が30日、福島県飯舘村の飯舘中体育館に響いた。生徒が企画した歌手の沢田知可子さんのコンサート。歌詞の一つ一つが言霊となって聴衆の心にしっかりと届いた。
年末が近づいても、悲惨な事件は止まらない。「沢田さんの歌に込めた命のメッセージを伝えよう」。実行委員長の高木枝里さんら3年生が中心となり、村が設けた「中学生枠」予算などを活用して初めてのコンサートを企画、運営した。
きっかけは9月に同校で開かれた講演会。筋ジストロフィーの障害のある講師が「闘病生活でこの歌に救われた」と歌手名や曲名を告げずに実際に流して紹介した。沢田さんの「gift」だった。何度も出てくる<がんばれ>という歌詞が生徒たちの心に響いた。
コンサートを前に沢田さんは10月に同校を訪れ、3年生に特別授業を行った。自殺者が年間3万人を超えていることを紹介しながら、「命の大切さを頑張れという言葉に乗せて届けたい」と、「gift」に込めた思いを語ってくれた。
コンサートには生徒や保護者のほか、寒さの中、多くの村民が詰めかけ、体育館を埋めた。「言葉には魂が宿る」と繰り返し語り掛ける沢田さん。聴衆は静かに耳を傾け、歌に引き込まれた。
「生徒たちが自分たちで苦労してやり遂げ、素晴らしいステージになった」。菅野典雄村長は沢田さんの歌だけでなく、準備や運営に奔走した生徒たちのひたむきな姿に感激していた。
コンサートが終わると、高木さんら実行委員がステージに上がり沢田さんに花束を渡して感動を伝えた。
「命を大切に生きよう」。生徒たちは、歌の贈り物を胸に抱きながら誓った。


