まぶたを閉じ、手を振り上げて響かす声に歌への愛があふれる。福島市の本田知美さん(23)。軽度の知的障害とパニック障害を持ちながら福祉施設などで歌う。14日は川俣町の川俣光風園を訪れる。クリスマスには少し早いが、入所者に心を込めて歌を贈る。
「歌が家族を救った」。母親の孝子さん(57)は話す。知美さんは少女時代、いじめに苦しみ、帰宅してラジカセで聴く音楽が救いだった。孝子さんは娘を必死で守ったが、いつまでそばにいてやれるのか。不安だった。「知美が得意な歌で仲間ができないか」。3年前、孝子さんはイベントへの売り込みを始めた。
力強い歌声は人の心を引きつけた。「観客の笑顔が勇気をくれる」と知美さんの表情は明るい。ただ、孝子さんには残念なこともある。ラジカセで曲をかけるため娘の後姿しか見られないことだ。「今は私しかできないから…。いつか観客と一緒に正面で聴いてみたい」。母はそう願っている。
障害乗り越え希望の歌声 福島の本田さん
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