「お元気ですか」。年の瀬も迫ったころ、福島県伊達市の主婦斎藤トミさん(73)は受話器を取った。手にはセピア色の写真。「懐かしいですね」。写真を撮影した長野県小諸市の三木敏行さん(77)の声が返ってきた。
保原町の桃畑でポーズを取る女性たちが写っている。三木さんが自宅でアルバムを整理していて偶然出てきた。陸上自衛隊福島駐屯地に勤務していた昭和35年に撮影した写真だった。
当時は名前も聞けず、渡すこともできなかった。何とかして渡したいと、福島民報社に手紙と写真を託した。地元商工会や斎藤さんの同級生らの協力で、その一人が斎藤さんだと分かり、半世紀ぶりに手元に渡った。
斎藤さんは当時、同僚らと花見に出掛けていた。そこには若き日の自分がいた。「写真、ありがとうございます。また桃の花が咲くころ会いたいですね」。時を超えて語り合う二人。懐かしい記憶の風景には鮮やかなピンクの花が咲いている。
記憶の風景に咲く桃の花
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