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がん患者に「勇気の舞」 日舞タレント大橋利之さん

公演の舞台に立つ利之さん(左)と兄の貴利さん

 大腸がんの手術を受けた福島県郡山市出身の日本舞踊タレント「大橋兄弟」の弟・大橋利之さん(35)=須賀川市在住=は、投薬治療しながら兄・貴利さん(38)と全国で公演活動を続け、舞台でがんの早期発見と治療の大切さを訴えている。「同じ境遇のがん患者に勇気と希望を持ってほしい」。利之さんの呼び掛けに共感の輪が広がっている。
 平成20年8月、利之さんは突然腹部に違和感を覚えた。診断結果は下行結腸がん。大腸のリンパ節に複数のがん細胞が転移する生存率の低い進行がんであることを医師から告げられた。舞踊歴25周年を迎えた矢先の出来事だった。
 すぐに郡山市内の病院に入院して手術を受けた。手術は成功し、2カ月の入院を経て舞台に復帰したが、転移への不安が付きまとう。「来年の自分はどうなっているんだろう」。死への恐怖も頭をよぎる。
 後ろ向きになりがちな気持ちを前に向ける転機は、昨年7月に訪れた。入院中に知り合った胃がん患者の小野町の男性宅を訪問。男性は退院後、投薬治療しながら調教馬の飼育員として元気に馬にまたがっていた。「自分にもできることがある」。大勢の人の前に立つ仕事を生かし、命の大切さを伝えようとの思いが芽生えた。
 県内をはじめ宮城、岩手、関東地方などで毎週1回開く公演で、闘病生活を明かしながら、がんの早期発見、早期治療を呼び掛け始めた。「がんは身近な病気です。家族にも定期検査を勧めてください」。利之さんのメッセージに心を打たれ、公演後に握手を求め、涙ぐむ観客も。
 公演は舞踊と芝居、歌謡ショーの3部構成。以前よりも体重は13キロも減り、激しい演舞に息切れすることもある。抗がん剤の副作用で口内炎がひどくなり、プログラムを変更することもしばしばだ。
 そんな弟を、女形の貴利さんが支え続ける。利之さんが入院中は、舞台の代役を貴利さんの長女利奈ちゃん(5つ)が担った。今では「大橋兄弟」の一員だ。
 利之さんはインターネットのブログに抗がん剤の副作用や予防法、日々の体調なども記している。ファンや同じがん患者からの励ましや共感の書き込みが増えているという。
 利之さんと貴利さんは幼いころに舞台への興味を持ち、けいこを始めた。昭和59年、小学生の時にデビューして以来、二人三脚で歩んできた。貴利さんは「これからもしっかりと弟をサポートしていきたい」と話す。
 利之さんが今、目指しているのは、がん患者のためのチャリティー公演だ。「集めた浄財をがん研究に生かしたい。研究が進めば、将来、自分と同じ境遇の人を1人でも減らすことができるかもしれない」。その言葉は生きる希望にあふれている。

カテゴリー:びっくり

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