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新商品に復興託し 小高の老舗菓子店松月堂が1日、原町に移転開業

新商品「樹望(きぼう)」を手にする(左から)純一さん、裕信さん、横川社長

 東京電力福島第一原発事故で全域が避難区域にある南相馬市小高区の菓子店「松月堂」社長の横川徳明さん(66)は6月1日、同市原町区南町に本店と工場を移した「四ツ葉店」をオープンする。地域復興へ願いを込めた新商品のバームクーヘン「樹望(きぼう)」が並ぶ店内は、避難先から戻った従業員の活気が満ちる。
 横川さんは小高で100年ほど続く老舗菓子店の3代目。原町高卒業後、いわき、仙台両市の菓子店で約5年間修業した。古里に戻り、和と洋の趣向を組み合わせた焼き菓子「浮城(ふじょう)」を開発した。まんじゅうが1個10円だった当時、45円と高価でなかなか受け入れられなかった。次第に味が評判を呼び、看板商品にまで成長した。
 横川さんは次々と新商品を開発し、店舗は南相馬、相馬両市に4店まで拡大した。洋菓子を得意とする長男純一さん(35)と和菓子を学んだ次男裕信さん(31)が加わり、家族で地域の人々の期待に応えようと菓子作りに意欲を燃やした。
 東日本大震災と原発事故で小高区は警戒区域に入り、横川さんは福島市や仙台市、東京都と避難先を転々とし、「廃業」という言葉を意識する日が増えた。息子たちは相馬市と南相馬市原町区の店舗の営業再開に向けて動きだした。「何度失敗してもいい。守りに入ったら終わりだ」。横川さんは息子たちの姿に菓子作りで常に心掛けてきた気持ちを思い出し、再び踏み出した。
 新店舗には「樹望」や定番の「浮城」など和洋の菓子が所狭しと並ぶ。小高などから避難している人々が安らぐ場になればと喫茶コーナーも設けた。横川さんは「多くの人々の支えでやっとここまできた。これからも挑み続けることで、地域に恩返しをしていきたい」と前を向く。

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