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マチの魅力この手で 避難解除の楢葉 ユズ出荷再開誓う

自宅に戻り、実り始めたユズを手にする新妻さん(右)と松本さん

 「楢葉の特産品を必ず復活させてみせる」
 町ユズ研究会の会計を務める新妻洋子さん(71)は5日朝、避難生活を送るいわき市の仮設住宅から町内井出の自宅に戻った。畑に向かい、実り始めたユズを手に取ると自然に笑みが浮かんだ。原発事故があってから、ろくに手入れができなかった。それなのに、小さな青い実は私を待っていてくれた...。4年半分の苦労が吹き飛んだ。訪ねてきた研究会事務局長の松本広行さん(59)と早速、出荷再開に向け構想を練った。
 町は30年ほど前、ユズの特産品化を目指し全戸に苗木を配った。町民有志がユズ研究会を組織し、少しずつ収穫量を増やしていった。平成22年には純米酒をベースにしたユズ酒「ゆず里愛(りあい)」を発売。すっきりした味わいが人気となり、1000本がすぐに売り切れた。翌年は2000本に増やす予定だったが、1000本造った時点で原発事故が起き、目標を諦めた。
 ユズの香りは人を笑顔にする。古里復興の力にしたい-。避難所や仮設住宅でずっと、ユズの畑で働く日を待ち望んでいた。それが支えだった。夢に向かって再出発する「平成27年9月5日」。古里に注いだ日の光の柔らかさを、風の優しさを永遠に忘れないだろう。間もなく仮設住宅を引き払う。
 放射性物質検査を受け、自分の畑から採れるユズの安全は確認しているが、市場に受け入れられるか不安は残る。県内産農産物への風評は消えていないためだ。それでも前を向く。「自分に元気をくれたユズと一緒に歩んでいきたい」

カテゴリー:響く

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