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宿泊客に福島発信 北海道・千歳の老舗宿4代目

福島民報を読む宿泊客。後方は佐々木さん

 北海道千歳市にある一軒宿「支笏湖丸駒温泉旅館」の4代目社長佐々木義朗さん(53)は福島県民への思いを胸に宿泊客をもてなしている。初代から3代目の経営者が富岡町出身だからだ。3代目で父の金治郎さんは東京電力福島第一原発事故で古里を奪われた悲しみの中、昨年6月に亡くなった。「父たちが愛した古里の現状を多くの人に知ってほしい」。義朗さんは福島民報を取り寄せ、宿泊客に読んでもらっている。
 丸駒温泉旅館は大正4年創業の老舗宿で昨年12月に100周年を迎えた。支笏湖の美しい風景と温かな接客で高い人気を誇る。創業者の佐々木初太郎さんは明治30年に富岡町から北海道に渡り、未開の原生林で温泉を探し当てた。初太郎さんのめいに当たる佐々木ヨシヱさんが2代目として旅館の礎を築き上げ、ヨシヱさんのおいの金治郎さんが3代目を継いだ。
 金治郎さんは3歳で養子となり富岡町から北海道に移ったが、小学5年から高校3年までは富岡町に戻って暮らした。青春時代を過ごした本県への思い入れは強く、再び北海道に渡ってからも度々県内を訪れ、旧交を温めていた。
 原発事故で金治郎さんの古里は一変した。福島第一原発から9キロほど離れた生家は立ち入りができなくなり、親族は離散した。金治郎さんは昨年3月に発刊した100周年記念誌に「古里が手の届かないところに行ってしまった。無性に寂しい」と書き残し、3カ月後の6月に息を引き取った。
 義朗さんは本県に関する正確な情報を多くの人に知ってほしいと福島民報を新聞閲覧コーナーに並べている。宿泊客らが足を止め、興味深そうに読んでいるという。来春に向け、福島ならではの季節の行事にちなんだ飾り付けで館内を彩ろうと考えている。
 義朗さんは原発事故を機に古里の大切さを再認識したと話す。「誰もが古里のようにくつろげる旅館にしたい」。富岡を愛した先代の思いを受け継ぎ、今日も笑顔で宿泊客を出迎える。

■郷土発展に協力誓う 全国の県人会が交流会

 全国各地の本県の県人会が一堂に会した全国うつくしま県人会交流会は10月27日、北海道千歳市の支笏湖丸駒温泉旅館で開かれ、郷土の発展に一体となって協力していくことを確認し合った。
 県の主催で4回目。北海道連合会、東京、東海、関西、ふくやま、福岡の県人会から約50人が参加し、親睦を深めた。交流会に先立ち「復興の加速化と風評払拭(ふっしょく)について」と題した意見交換会もあった。

カテゴリー:響く

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