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古里再生の花開け コチョウラン栽培目指す 杉下博澄さん

コチョウランの栽培開始に向け資料に目を通す杉下さん

 葛尾村で農家3軒が始めるコチョウランの特産品化を目指した取り組みには、地域再生を願う熱い思いがこもる。最年少の杉下博澄さん(35)は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で痛んだ古里の力になろうと、会社を辞めて加わった。「心を和ます美しい花を葛尾の復興の象徴にしたい」と夢見る。

 田村市常葉町で避難生活を送る杉下さんは平成29年度のコチョウランの栽培開始に向け、着々と準備を進めている。郡山市や東京都などの市場で需要を調べ、千葉、群馬両県にある先進的な産地を視察。ビニールハウスなどの施設管理に必要なボイラー技士の資格を取得した。品質をいかに高め、販路をどのように確保するかなどについても研究し、「花の手入れをする日が待ち遠しい」と笑顔を見せる。
 葛尾村大笹地区にある和牛肥育農家の長男に生まれた。花卉(かき)栽培に関心を持ち、矢吹町の県立農業短大園芸学科で学んだ。東京都内の市場で3年間働いた後、県内に戻った。田村市で会社勤めをしていた23年、震災と原発事故に遭った。
 古里は避難区域となった。生まれ育った愛着のある場所に戻りたい。廃れていく姿は見たくない-。自ら動こうと心に決めた。村内でコチョウランを特産化する計画が動きだすと父親から聞き、2年前に会社を辞めた。
 今月1日現在、一部を除き避難指示が解除された村に帰還したのは全村民の10%未満の99人。震災から5年8カ月が過ぎて高齢化が進み、営農再開に向けた動きは足踏みが続く。コチョウラン栽培が軌道に乗れば、村に戻り農業に携わりたいという若者が増えると期待している。「同じ志を持った仲間を待っている。成功事例を作り、村の魅力を高めたい」と誓う。

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