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「記憶誌」作製 地域つなぐ 大久保・外内行政区 避難解除に合わせ配布

記録集の内容について話し合う長正区長(左奥)ら

 東京電力福島第一原発事故に伴う居住制限区域になっている飯舘村大久保・外内(よそうち)行政区の住民有志は、地域の伝統や生活の様子をまとめた記録集「暮らしの記憶誌」の作製に取り組んでいる。来年3月末の避難指示解除に合わせて全世帯に配布する。長い年月をかけて強めてきた地域の絆を再確認し、新たな古里づくりに生かす。

 「この写真は貴重だな」「田植え踊りは外せないね」。発起人の長正(ながしょう)増夫区長(69)、青木公男編集長(67)らが記録集の印刷、製本を担う福島市のサガデザインシーズ事務所で意見を交わす。写真の配置、説明文、見やすさ...。長く後世に残る1冊を作りたいとの願いが議論を熱くする。
 村の中央部にあり、農業が盛んな大久保・外内行政区は原発事故前、約70世帯・300人が暮らしていた。記録集はA4判で150ページ程度。各世帯の家屋の外観、家族の集合写真、家系図を掲載する。それぞれの家の歴史を紹介し、復興への決意を示した文章を添える。原発事故前の住民の暮らしぶりと家族愛が伝わる内容にする。
 名所旧跡、風習、地名の由来などの他、福島、新潟両大の協力で実施した農地、家屋などの放射性物質のモニタリング調査の内容も載せる。費用は復興庁の「心の復興事業」の補助を受ける。
 行政区の役員らによる編集委員会が昨年春から住民への聞き取りや素材集めを進めてきた。村の復興を支援する福島大経済経営学類の教授4人らが協力した。住民が各地に避難しているため不定期の全体集会や2カ月に1回発行する区情報誌で資料提供を呼び掛けた。現在、約8割が集まった。
 長正区長は編集作業を通して住民の連帯感の強さを実感した。「すぐには全員帰村できないだろうが、記録集の作製に多くの人が関わり、関係性を再構築することに意義がある」と言葉に力を込める。住民の古里への思いが生活再建の原動力になると信じている。

カテゴリー:なるほど

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