ホッとニュース

  • Check

特産エゴマで地域を元気に 生産者の新開ミツ子さん

エゴマの手入れに励む新開さん

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の大部分が解除され、一年が過ぎた葛尾村で特産のエゴマ栽培が再開した。農家7軒と村の復興に協力している郡山女子大(郡山市)が今秋、東日本大震災前の約2倍に当たる680キロを収穫する見通しとなっている。生産者の一人、新開ミツ子さん(68)は避難生活を通し、古里の良さを改めて知った。「地域を元気にするため役に立ちたい」と畑仕事に汗を流す。

■避難生活で「古里」実感

 葛尾村野川にある新開さんの畑に青々としたエゴマの葉が連なる。「やっぱり、畑に緑が広がる光景はいいもんだ」。額の汗を拭いながら、一本一本を丁寧に手入れしている。
 避難先の田村市船引町から片道30分かけてほぼ毎日、畑に通う。村を離れていたため、農作業は6年ぶりだ。体はきついが、作物を育てる喜びはそれに勝る。「今日も精が出るね」。畑のそばを通る村民が声を掛けてくれるのが何よりうれしい。
 震災前はエゴマを年間80キロから160キロほど生産していた。今年は自身の畑と、管理を手伝っている郡山女子大との連携農場の分を合わせ、農家7軒の中で最も多い140キロを収穫する。村民が出資する「葛尾じゅうねん企業組合」に販売する予定になっている。
 原発事故で郡山市などに避難した。葛尾を離れて暮らすのは生まれて初めての経験だった。「よその土地で生活するまで、『古里』という言葉を実感できなかった。葛尾で過ごすのが当たり前だったから」。雄大な自然や住民の温かさ-。その素晴らしさ、ありがたさが身に染みて分かった。
 今年初め、村が特産品として売り出すエゴマの栽培農家を募っていると知った。「今度は私が故郷に恩返しする番だ」と手を挙げた。
 帰還困難区域を除く村の避難指示が解除されて1年2カ月。村民約1400人のうち、約1200人は依然、避難生活を続けている。それでも、新開さんは村の将来を悲観してはいない。「今はやれる人がやれる事をやればいい。一歩一歩、復興に向けて歩んでいきたい」

■今秋、震災前の2倍収穫見通し 郡山女子大が協力

 葛尾村内では震災前、年間約300キロのエゴマの収穫量があった。村は栽培を本格化させて農業再生につなげる方針で、来年以降も生産者を募る。
 村は郡山女子大などを運営する郡山開成学園と復興に関する包括連携協定を結んでおり、その一環で同大が栽培に協力している。栄養成分の分析などにも取り組み、エゴマを使った商品開発を進めている。
 経済産業省から出向し、事業を担当する村復興推進室の杉本誠さん(27)は「エゴマを通じて村の知名度向上につなげたい。村民にやりがいを感じてもらえればうれしい」と話している。

カテゴリー:なるほど

ホッとニュースの最新記事

>> 一覧