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織姫育て心紡ぐ 「昭和からむし織」国の伝統的工芸品指定

からむしの糸作りを指導する五十嵐さん(左)

 昭和村の女性たちが地道に紡いできた、からむし織の魅力をさらに高めたい-。
 村からむし織技術保持団体代表として技を伝えている五十嵐良(りょう)さん(82)は30日、国の伝統的工芸品指定の朗報に接し、感慨に浸った。
 「手作り品の温かさ、郷土愛の素晴らしさを若い人たちに伝えていきたい」。糸をより合わせる手に力を込めた。
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 指定が発表された30日、五十嵐さんは100年以上の歴史を誇る地機(じばた)織りの講習会の講師として後進にからむしの糸よりの仕方を指導した。巧みな手さばきに受講生が真剣なまなざしを注ぐ中、柔らかな笑みを浮かべながらこつを伝授した。
 樺太(現サハリン)で生まれ、3歳の時に両親の古里の昭和村に移った。21歳でからむし生産農家に嫁ぎ、からむし織と出合った。
 伝統の技はしゅうとめ仕込みだ。夏場はからむしの繊維を取る作業「苧(お)引き」、農閑期となる冬場は繊維を裂いてつないでよりを掛けて糸を作る。3カ月ほどかけてたっぷりと糸を作り置きして、年明けの2月下旬から機織りに取り掛かる。
 葉タバコ栽培に乗りだしたため一時的に離れたが、30年ほど前に製造を再開した。「からむし織を絶やしてはならない」との一心だった。
 村は1994(平成6)年にからむし織体験生(織姫)制度を始め、村外から後継者を募った。制度が浸透するにつれ、村内でも技術継承の機運が高まった。15年ほど前からは村民を対象とした地機織り講習会も始まった。指導者としてだけでなく、村外からやってきた織姫たちの相談相手としても慕われている。
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 「指定をきっかけに興味を持つ人がさらに増え、村内の家庭でも親から子へ受け継げる環境になってほしい」。作業は辺りが雪に閉ざされるこれからが本番だ。村の明るい未来を思い描きながら、今日もからむし織と向き合う。

■工芸士認定基準策定へ昭和村
 伝統的工芸品の国指定に伴い、からむし織の作り手は「伝統工芸士」として活動できるようになる。昭和村は前提となる伝統工芸士としての認定基準の策定に着手し、さらなる技術や技能の向上を目指す。
 このほか、村は2018(平成30)年度以降、国の支援策を活用して後継者育成や販路開拓などに取り組む。
 指定に伴い国の各種振興策の対象となり、さまざまな支援を受けられる。後継者育成や販路開拓などに伝統的工芸品産業支援補助金を活用できるほか、伝統産業振興協会による海外や首都圏での展示会に出展できる。新製品の開発にも力を注ぐ考えだ。
 馬場孝允村長は「指定を契機にからむし織に携わる人材をさらに育み、製品の市場評価が一層高まるように村としても全力で支援していきたい」と喜びを語った。

■県内から5件
 県内では、奥会津昭和からむし織を含む5件が国の伝統的工芸品の指定を受けている。指定されている伝統的工芸品は【下記】の通り。

■県内の国指定伝統的工芸品
・会津塗
(会津若松市・喜多方市、1975年指定)
・大堀相馬焼(浪江町、1978年指定)
・会津本郷焼(会津美里町、1993年指定)
・奥会津編み組細工(三島町、2003年指定)
・奥会津昭和からむし織
(昭和村、2017年指定)

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