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訪問看護の礎に ふたば医療センター付属病院 富岡で診療開始

診療開始に当たり田勢院長の訓示を聞く門馬さん(右)。看護師人生の集大成にすると意気込む

 双葉郡内の2次救急医療を担う富岡町の「県立ふたば医療センター付属病院」は23日、診療を開始し、医師らは帰還した住民を医療面で支える決意を新たにした。看護師の門馬君江さん(62)=相馬市出身=は病院機能の柱の一つである訪問看護の土台づくりに挑む。県内の訪問看護のリーダー役を務めた経験があり、「帰還が進めば訪問看護の必要性はより高まる。看護師人生の集大成にしたい」と意気込んでいる。
 この日、診療開始は午前9時半を予定していた。しかし、同9時前に双葉地方広域消防本部から双葉町の作業員を搬送するとの連絡が入った。田勢長一郎院長(67)は開始時間を前倒しして救急車を受け入れ、患者の救命措置に当たった。
 手当てが一段落すると、田勢院長は医師らスタッフ約30人を集め「双葉郡の住民の健康管理をわれわれが担っていきたい」と訓示した。記者団の取材に「基本的に患者の受け入れは断らず、柔軟に対応していく。住民の安全安心を守る」と語った。
 病院は救急科と内科があり、救急搬送や医療機関の診療時間外(夜間・休日)の来院、入院が必要な他医療機関からの紹介患者らに対応する。
 常勤の田勢院長のほか、福島医大などから非常勤医師20人が交代で勤務する。平日の日中は4~5人、その他の時間帯も2人以上の体制にする。看護師や薬剤師、事務などを含めると約70人体制となる。富岡町の災害公営住宅に住む無職菅原啓子さん(77)は、今年2月に夫を亡くし、今は一人暮らし。「病院ができると聞いて町に戻ってきた。万一の時に安心できる」と語った。
 同病院は日中に窓口を訪れた患者についても診療を受け付けている。問い合わせは同病院 電話0240(23)5090へ。

■40年の経験を古里で生かす 看護師の門馬君江さん(相馬出身)

 「40年間の経験を生まれ育った相双地方の復興に生かしたい」。診療開始の日を迎え、門馬さんは晴れやかな表情を見せた。
 1997(平成9)年に伊達市の公益財団法人仁泉会が運営する、あぶくま訪問看護ステーションで働き始めた。2001年からは所長として経験を積み、2015年から2年間は、県訪問看護連絡協議会長も務めた。
 第一線で働いている時も、厳しい医療環境に置かれた古里が常に気掛かりだった。「何もできず心苦しかった」と振り返る。法人に看護師派遣の依頼があったことをきっかけに所長を辞め、新天地に赴く決意を固めた。
 原発事故により双葉郡内で訪問看護は現在もほとんど実施されていない。同病院も準備が整い次第、訪問看護をスタートさせることになる。「帰還した住民には高齢者が多い。今は大丈夫であっても、将来に向けて地域の保健師や介護士と情報共有を進める必要がある」とネットワークづくりを誓う。
 同病院に勤務する看護師では最年長。救急外来での夜勤も務める。「体力が必要になってくるが、若い人と一緒にチームワーク良く頑張っていきたい」と表情を緩ませた。

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