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大熊帰還へ一歩 準備宿泊始まる

準備宿泊初日に自宅で愛犬とくつろぐ井戸川さん

 東京電力福島第一原発事故で全町避難している大熊町の避難指示解除準備、居住制限の両区域で24日、夜間も含め自宅での滞在が可能な準備宿泊が始まった。第一原発が立地する双葉、大熊両町では初めて。住民帰還に向け、避難指示解除まで続ける。帰還した町民はわが家で安堵(あんど)の表情を浮かべた。一方、町民には防犯面などの不安もあり、町は安全・安心の確保に努める。

 今月1日現在、大熊町の準備宿泊の対象は中屋敷地区(避難指示解除準備区域)の11世帯21人、大川原地区(居住制限区域)の128世帯358人。町の人口の約3%に当たる。24日現在、中屋敷地区で2世帯3人、大川原地区で6世帯11人が宿泊を申し込んだ。
 政府はこれまで町内で6回にわたり期間限定の特例宿泊を実施した。直近の3月13~31日には8世帯15人が宿泊した。
 町は復興拠点となる大川原地区に町役場新庁舎を整備する。来春を目標としている新庁舎の供用開始を踏まえ、町は中屋敷、大川原両地区の避難指示解除時期を検討する。
 昨年11月には帰還困難区域内の一部約860ヘクタールが政府から特定復興再生拠点に認定された。国費で除染やインフラ整備を進め、2022年春ごろまでの避難指示解除を目指す。
 政府と町は準備宿泊の開始時期について、23日に富岡町の県立ふたば医療センター付属病院で診療が開始され、救急医療体制が整った点などを考慮した。町は「住民の帰還促進に向け、復興拠点の整備を急ぐ」としている。

■古里で気兼ねせず 井戸川さん愛犬とわが家へ
 「誰にも気兼ねせず暮らせるのが一番」。大熊町大川原の井戸川清一さん(64)は24日午前10時半すぎ、避難先の南相馬市原町区からわが家に戻った。一人暮らしだが、東京電力福島第一原発事故で避難生活を共にし「相棒」と呼ぶトイプードルのマルコと一緒だ。
 原発事故後、親族のいる長野県やいわき市などに避難した。原町区に自宅を購入したが、いつか故郷に戻りたいと考えていた。東日本大震災で半壊した町内の自宅を解体して新築し、昨年7月に完成した。原町区の家は親族の男性に譲る。
 これまで一時立ち入りを続け、2度特例宿泊したが、期間が限られ気持ちが落ち着かなかった。これからは朝晩の散歩や家庭菜園を心置きなく楽しむ。マルコの背中をなでながら「古里の空気を吸って震災前のことを思い出しているのかな」と目を細めた。
 富岡町の医療機関や商業施設に車で通えるため「不便さは感じない」という。一方で、近所はまだ誰も帰ってきていないため、防犯面の不安から自宅に監視カメラを設置した。イノシシによる被害を受けたため、庭には電気柵を設置した。原発事故前には考えられなかった。家の大きな窓からは近くの山や庭の花木が鮮やかに映る。また震災前のような住民同士の交流が始まることを願い、庭の手入れを続ける。「大川原地区に町役場新庁舎ができて職員が戻れば、町の様子も変わってくるはず」と期待した。

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