ホッとニュース

  • Check

「第九」国内初演100年 人結ぶ音楽の意義確認

シンポジウムで松江豊寿を巡る史実の意義などについて語る斎藤副市長(右から2人目)ら

 ベートーベンの「交響曲第九番」が国内で初めて、徳島県鳴門市にあった板東俘虜(ふりょ)収容所で演奏されてから100年となった1日、鳴門市で式典やシンポジウム、演奏会など記念事業が繰り広げられた。同収容所長を務めた会津若松市出身の松江豊寿の銅像の除幕式も行われた。本県から関係者が駆け付け、鳴門市民らと記念の日を盛大に祝った。末永い地域間交流を約束するとともに、平和への誓いを新たにした。

 「松江豊寿の縁が会津若松市と鳴門市、ドイツをつないだ。さらに多くの地域へと交流の幅を無限に広げている」。1日に鳴門市のルネッサンスリゾートナルトで開かれた「第九」初演100年日独シンポジウム「第九永遠(とわ)なり」で、会津若松市の斎藤勝副市長が言葉に力を込めた。
 シンポジウムは福島民報社と徳島新聞社の主催、会津若松市と鳴門市の共催。鳴門市民ら約180人が詰め掛けた。クリスティアン・ヴルフ元ドイツ大統領が基調講演し、国境を超えて人々を結び付ける音楽の意義などについて語った。ヴルフ氏は「世界中で孤立主義、排外主義を求める人たちが増えている。しかしきょうは国と国とが思いやる関係を推進していくための優れた出発点になる」と強調した。
 続いてヴルフ氏、鳴門市と姉妹都市となっているドイツ・リューネブルク市のウルリヒ・メドケ市長、鳴門市の泉理彦市長、会津若松市の斎藤副市長、全日本「第九を歌う会」連合会の亀井俊明名誉会長がパネリストを務め、パネルディスカッションを行った。
 メドケ市長は「小さなことから積み重ねていけば戦争は回避することができる」と訴えた。泉市長は「悲惨さを学ぶことだけが戦争の学習ではない。国境を超えた友愛の事例として鳴門市を平和学習の場にしていきたい」と語った。
 斎藤副市長は「それぞれの文化や歴史を知り、尊重し合うことが世界平和につながる」と望んだ。亀井名誉会長は板東俘虜収容所の史実について「収容所長だった松江豊寿は武士道に根差した、会津人としての高い人格を持っていた」と指摘した。
 福島民報社の高橋雅行社長が「松江豊寿という存在を大切に考え、松江の功績と鳴門を原点にした交流を100年後につないでいけるよう取り組んでいきたい」とあいさつした。

■捕虜の子孫ら交流 レセプション

 シンポジウムを前に、初演100年を記念した式典とレセプションが催された。
 松江豊寿の孫の松江行彦さん(71)=東京都在住=やドイツ兵捕虜の子孫らを含む約100人が出席した。式典では主催者を代表し、鳴門市の泉理彦市長が「今後も友愛の史実が世界に発信され、温かい交流が続くことを願う」と述べた。堀井巌外務政務官、飯泉嘉門徳島県知事、ルプレヒト・フォンドラン独日協会連合会名誉会長があいさつした。捕虜の孫ペトラ・ボーナーさん(スイス)が初演時のプログラムや収容所で発行されていた新聞などを市に寄贈した。
 レセプションでは第九の国内初演までの道のりや第九演奏を継承する鳴門市の活動などをまとめた動画が上映された。地元の子どもたちが第九を歌い、会場を盛り上げた。
 福島県から会津若松市の斎藤副市長、福島民報社の高橋社長と安斎康史会津若松支社長が出席した。

ホッとニュースの最新記事

>> 一覧