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30キロ圏外も屋内退避線量・国のヨウ素拡散試算 線引きに苦悩する県 「広げれば混乱する」

 「福島第一原発事故の避難・屋内退避区域は今のままでいいのか…」  県の関係者からため息がもれる。屋内退避の30キロ圏外にあるいわき、飯舘、川俣などの各市町村で、原子力安全委員会と県が屋内退避の指標とした被ばく線量に達する−との試算を政府が公表したためだ。
 ただ、県は「これ以上、屋内退避区域を拡大すれば県内は大混乱」と推移を見守っている。
   ■  ■  政府が23日公表した放射性ヨウ素の被ばく線量試算では、30キロ圏外の自治体でも累積で100ミリシーベルト以上になりうるとされた。「100ミリシーベルト以上」は原子力安全委員会の指標で屋内退避に当たる。県の原子力災害応急対策計画でも屋内退避の目安となっている。
 一部報道で「30キロ圏外でも何らかの対策が必要だ」とする有識者の談話が紹介され、関係者は顔をしかめた。しかし、政府、県とも「現段階ではデータが足りない」として早急な対応には否定的。県の原発担当職員は「避難や屋外退避の範囲を広げれば、社会的影響が大き過ぎる」と慎重姿勢を貫く背景を打ち明ける。
   ■  ■  29日まで原発は「小康状態」を保っている。県が毎日、発表する放射能測定結果で100ミリシーベルト以上が予想された飯舘村などで数値は低下。いわき、川俣両市町で、合わせて約200人の小児を対象に行われた甲状腺被ばく調査でも全員「問題なし」との結果が出た。
 政府の原子力災害現地対策本部の関係者は「現状では、屋内退避区域を広げる必要はない」と強調した上で、半径20キロや30キロと同心円状に区切った区域設定は実情に合わないと指摘。「今後は、被ばく線量が多いと試算された地域に絞って避難や屋内退避などの範囲を広げるべき」と語っている。

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