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農家、危機感消えず 県のハウス7品「安全確認」 なお風評を懸念 原発事故終息が不可欠

アスパラガスを栽培する本宮市岩根のハウスで風評被害の現状に憤る五十嵐さん=27日午後4時5分ごろ

 「県の安全宣言で野菜は本当に売れるのか」−。県が放射能測定で暫定基準値を下回ったハウス栽培野菜7品目の安全性を確認した27日、県内の生産農家からは安堵(あんど)の声も上がったものの、風評被害への懸念は強い。土壌の放射能汚染調査の結果が出るまで県がコメなどの作付けを延期するよう求めたことに対しては、戸惑いや反発も広がる。春の収穫・作付け期を迎えた農家は依然、先が見えない不安に揺れている。
 「県がいくら安全を宣言しても、原発事故が終息しなければ、問題は解決しない」。本宮市岩根のビニールハウスでアスパラガスを栽培する五十嵐勝則さん(58)は険しい表情で話す。
 県内産のアスパラガスは通常一キロ当たり1500〜2000円の値が付くが、最近は500円余りに落ち込んでいる。県が安全性を確認しただけでは、風評被害は克服できないとの危機感は強く、喜多方市熱塩加納町でアスパラガスを栽培する峯岸久孝さん(59)は「出荷しても市場で拒否されるかもしれない」と気をもむ。
 JA会津みなみのアスパラガス部会長を務める南会津町田部の湯田万平さん(58)は「県の安全宣言は歓迎する」としつつも「市場では『福島県産』というだけで敬遠されていると聞いた」と表情を曇らせた。
 アスパラガスだけでなく、県内産のイチゴの値段も例年の4分の1程度に下がっている。伊達市梁川町の栽培農家袖山要治さん(63)は「作れば作るほど赤字になる」と窮状を訴える。
 郡山市日和田町でイチゴ園を経営する国分一男さん(62)は地震で壊れた施設を修復したが、風評被害への不安を拭い切れず、営業再開を見合わせている。安全性に対する県のお墨付きがあっても「悪いうわさは簡単には消えない」と話し、国や県に風評被害の解消に全力を尽くすよう求める。
 二本松市西勝田でタラノメを栽培する吉田平さん(79)は「原発事故の今後の動向が見えない。他の野菜も作付けできるのか」と、先を見通せないいら立ちを口にした。

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