東日本大震災

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県南7市町村稲作困難 羽鳥湖からの送水管損壊 被害農家2000戸超 現地ルポ

作付けに備え、水田の土手を焼く農家=鏡石町、27日午前11時ごろ

 天栄村の羽鳥湖の水を水田に流すパイプラインが震災で11カ所損壊し白河、須賀川、矢吹、鏡石、泉崎、中島、天栄の7市町村計約3200ヘクタールの作付けが困難な状況になっている。被害を受けている農家は千戸を超える。
 鏡石町では、ため池の堤防に亀裂が生じ、約1050ヘクタールのほぼ全てが影響を受けている。27日は町内笠石の水田で農家約20人が土手の野焼きをしたものの、鈴木広美さん(64)は「田植えに備えた作業だが、今後の見通しは全く立たない」と嘆く。鈴木さんはキュウリやニラ栽培でコメの減収分を補う考えだが、「風評被害により、福島産というだけで野菜も売れないだろう」と不安を口にした。
 笠石地区の農家の間では、ため池の雨水などを水田に引く案も出ている。しかし、わずか五ヘクタール程度しか賄えず、「それでは収入にならない」「作付けしても意味がない」とのため息も聞こえてくる。遠藤栄作町長は「町の水田は羽鳥湖の水で潤ってきた。農業に与えるダメージはあまりに大きい」と早期復旧を訴える。
 須賀川市は羽鳥湖のほか、藤沼湖の決壊などもあり市内の農地の約2割に当たる約千ヘクタールが耕作困難な状況だ。橋本克也市長は、風評被害による農作物全体への打撃も懸念し「国と東京電力はどのような補償をしてくれるのか」と明確な回答を求めた。
 パイプラインは国営隈戸川土地改良事業で整備された。国は現在、被害調査のため羽鳥湖の水2700万トンのうち1800万トンを抜く作業を進めている。被害状況を確認した上で、平成23年度中の補修を目指す。7市町村でつくる矢吹原土地改良区の理事長を務める野崎吉郎矢吹町長は「この問題は早く解決しなければならない」と話し、近く東北農政局に協力を要請する考えだ。(須賀川支社・加藤 元気)

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