東日本大震災

  • Check

20~30キロ圏自主避難 「政府対応あいまい」 脱出か残るか 住民の不安と戸惑い増幅

ビッグパレットふくしまの富岡町・川内村合同対策本部で住民らの電話に応対する職員ら=郡山市、25日午後5時ごろ

 「避難すべきか」「残るべきか」。政府が東京電力福島第一原子力発電所の半径20~30キロ圏内に事実上、避難を促した25日、エリア内の住民は戸惑いの声を上げた。「あいまいな指示だ」「住民の不安をあおる」。自治体関係者も政府の対応に、いら立ちを見せる。一方、放射能測定値が低いにもかかわらず、原発からの距離によって一律にエリアを指定する手法に疑問を抱く声もあった。
 飯舘村南東部の蕨平地区は福島第一原発から半径30キロ圏内に含まれる。行政区長を務める畜産業小野隆庸さん(61)は25日午前、震災で死亡した親戚の火葬に立ち会っているとき、政府が自主避難を促しているという連絡を受けた。「自主避難では危険の度合いが分からない」と嘆き、「政府の避難対応はあいまい」と指摘した。牛舎の6頭の牛を思い、「避難指示が出たら置いていくしかない...」と力なく語った。
 田村市常葉町堀田の同市議会議長菅野善一さん(62)は「国の分かりやすい説明がないために、住民の不安、不満はピークに達している。せめて原発トラブルの終息、地域や住民への補償を確約してほしい」と訴えた。
 半径30キロ圏内に村内のほぼ全てが含まれる川内村。今も家畜農家や寝たきりの高齢者ら約70人が残っている。村議会議長の畜産業遠藤幸男さん(61)は50頭近い牛の世話をするために村にとどまっている。
 村内のモニタリングポストで放射能測定値を毎日確認し、郡山市の村災害対策本部に連絡しているが、数値は低い状態が続いているという。遠藤さんは「村を離れたら牛がどうなってしまうのか。今の数値なら川内は大丈夫なはずなのに、原発からの距離によって一律に指示を出すのはおかしい」と憤る。
 南相馬市の商工業者ら市民有志は同日、市役所を訪れ、桜井勝延市長に屋内退避指示の解除を直談判した。
 シマ商会社長の島一さん(66)は「もし避難指示が出されれば、商店街が深刻な打撃を受ける」と主張。「市内の放射線の数値は低く、屋内退避の必要はない。国に強く訴えてほしい」と迫った。
 市によると、大震災発生から2週間がたって市外の避難先から自宅に戻る市民が目立ち、市内には2万人程度がいるという。

東日本大震災の最新記事

>> 一覧