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校庭の除去土処分先、宙に浮く 郡山

郡山市の薫小で除去土を覆うブルーシートの上から、さらに落石防止用ネットを掛ける作業員=28日午後3時30ごろ

 福島県郡山市が放射線量測定値の高かった校庭・園庭で実施している表土除去作業で市は28日、予定していた市内の河内埋立処分場への除去土搬入を、周辺住民の反発を受け凍結した。各校庭・園庭で仮置きする。学校や保護者は作業自体に理解を示しながらも、残された除去土に不安を隠せない。周辺住民からも戸惑いの声が上がっている。
 郡山市は28日、市議会災害対策本部に状況を報告した。処分場搬入について柳沼大太郎生活環境部長は「実施と説明の順序が逆で、確かに拙速だった」と周辺住民の心情に配慮し、搬入を見合わせることを説明した。ただ、「除去は保護者、学校の要望が強く、線量低下の効果が見られる」として、除去作業を継続することも決めた。
 除去作業は29日に再開し、残る小中学校14校、公立保育所12カ所で1日に4カ所程度ずつ行う。公立施設は5月2日に、39カ所の民間の幼稚園と認可・認可外保育所は同8日に作業の完了を目指す。
 一方、除去した土は、国の除去土に関する見解が示されるまでそれぞれの校庭・園庭に「仮置き」する。市教委は28日、各校に除去土を仮置きする方針を通達。除去土を保管する場合、児童・生徒が近寄らないよう柵を設けるなどの防護策を取るよう求めた。さらに、一日のうち午前と午後に各校の放射線量を測定するよう促している。
 28日は強風が吹き、市は薫小の除去土に落石防止用ネットをかぶせて厳重に管理した。市は土を凝固剤で固め、ブルーシートで覆うことで「飛散や、風雨による漏えいが防げる」としている。
 郡山市が県内に先駆けて行った放射線量の高い校庭・園庭の土の除去は、埋設予定地の周辺住民が埋設へ反発したことで、削った土の処分が宙に浮いた状態となった。
 薫小の校庭の一角にブルーシートに覆われた高さ3メートル、幅10メートルの山が残された。
 薫小の佐藤聡PTA会長は「除去土が残るのは想定外だった。線量が下がっても、現状のままでは屋外活動解除に保護者は納得しないのではないか」と心配する。森山道明校長は「除去には感謝しており、飛散しない万全の策を取ってもらうしかない」と苦渋の表情を見せた。
 学校周辺住民も困惑気味だ。近所の女性会社員(50)は「子どものために除去は賛成。でも河内埋立処分場周辺の方の気持ちも分かる。それでも、学校に土が残るとなれば、自分も風向きが気になる」と本音を口にした。
 だれもが納得できる安全な処分法は見いだせないままだ。対策本部で状況を聴いた議員の一人は「市も市民も(原発事故の)被害者。市民同士で怒号が飛び交うようことのないようにしなければ」と憂慮していた。
■他市の判断に影響
 郡山市が実施した表土除去作業で、処分場周辺住民が反発し搬入を見合わせたことを受け、実施を予定している他の自治体の判断にも影響が出ている。
 伊達市は当初の予定通り29日から、基準値(毎時3・8マイクロシーベルト)以上で屋外活動が制限されている小国小(霊山)と富成小(保原)、富成幼稚園の三カ所で作業を開始する。
 課題とされる取り除いた表土については市内の公有地に仮置きする。最終処分先は国や県の指導を仰ぐ。仁志田昇司市長は「専門家の意見や市が行っている試験結果から判断した。仮置き場についても地域の合意も得ながら進めていく」と話している。
 一方、福島市は実施には意欲を見せつつ、作業開始には慎重だ。市教委学校教育課は「国による土の処分の指針が示されないうちは実施できない。子どもの安全・安心は第一だが、2次被害を出してはならない」としている。
■県放射線健康リスク管理アドバイザー処分法詰めるべき
 県放射線健康リスク管理アドバイザーの神谷研二広島大原爆放射線医科学研究所長は「除去土の線量がどうなるかは、測らないと分からない。凝固剤は放射線を防ぐものではない」と指摘。国、県の方針を待たずに実施した市について「除去土処分について詰めてから取り掛かるべきだったのではないか」と疑問を投げ掛けた。
 除去土を校庭・園庭に置くことについて、郡山市環境保全センターは「まとめることで放射線量は少し上がるかもしれないが、もともと低レベルなので周囲に影響はない。鉛板やコンクリートなど遮蔽(しゃへい)材を設けるのも一つの手段」としている。

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