東日本大震災

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春届けたい 花で生きる力を 福島・花見山阿部さん 来訪者待つ

震災後も変わらず咲く花々をめでる阿部さん=福島市の花見山公園

 例年30万人以上の観光客が訪れる福島市の花の名所、花見山公園は今年もウメ、サンシュユ、レンギョウなどが競うように咲き誇る。「どんな時でも花の美しさは変わらない」。園主の阿部一郎さん(91)は3日、いつも通り園内を見回った。
 4月を迎え、例年なら県内外からの人出でにぎわうが、原発事故の影響からか園内を散策する人は少ない。それでも、震災でひびが入った散策路はすぐに修理した。花が持つ「癒やし」の力を必要としている人を迎えるためだ。
 日中戦争を経験し、戦場の最前線に立った。隣で次々と倒れていった戦友の姿は、決して忘れることができない。昭和34年から始めた公園の開放には「戦争で苦しみを味わった人を元気づけたい」という思いがあった。
 今回の震災と津波で壊滅した街並みは、かつて見た「地獄」と重なる。南相馬市小高区で農業を営む親戚も、原発事故の影響で避難生活を強いられている。
 例年実施されているシャトルバスの運行や出店は中止になった。「花どころではない状況かもしれない。しかし、被災した人にこそ見てほしい」と思う。今月中旬からは桜が咲き始め、一番美しい季節を迎える。無料開放から半世紀−。「花は生きるために立ち上がる力を与えてくれる」。花見山と自分自身が果たす役割を見詰め直している。

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