東日本大震災

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鏡石 水田9割作付け困難 施設復旧見通し立たず

復旧が手付かず状態のため池の崩壊現場

 鏡石町の水田は雑草に覆われている。東日本大震災で損壊したパイプラインの復旧が進まず、町内の水田の約九割に当たる1050ヘクタール余りが作付け不能の状態だ。福島第一原発事故の影響を受け、各地で例年より遅い田植えが始まった中、町内の農家は耕作できない苦悩を抱えている。

 「今年の収入はほぼゼロ。今までの蓄えでぎりぎりの生活をしなければならない」。町内笠石原町の男性(70)は嘆く。
 町内の水田は天栄村の羽鳥ダムから水を引いている。地震によるパイプラインの損壊箇所の多くが手付かずで、須賀川市など他の自治体は貯水池などで補っている。しかし、町には高台にある水田が多く、川などからの取水は困難だ。
 農業は町の基幹産業で、一戸当たりの農業所得は昨年まで県内トップクラスの200万円を超えていた。農業収入の減少はそのまま家計を直撃する。
 町は雑草対策として田おこしする農家に10アール当たり3千円を支給するなどの支援策を打ち出した。
 しかし、震災で震度6強の強い揺れに見舞われた町内の農業施設の被害は甚大だ。町の調べでは、ため池の堤防やのり面が崩壊したり、田が地割れしたりして約5億4千万円の被害が出た。これらの復旧の見通しも立たず、農家を取り巻く状況は深刻化している。
 遠藤栄作町長は「今後、国に対してパイプラインの早期復旧や農家への緊急補償を一層強く求めていく」と強調する。しかし、作付けのリミットは迫っており、農家からは「今年は田んぼを諦めるしかない」との深いため息も聞こえてくる。

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